第13話 善子の証

金城から聞いた話では、怪物は広島へ行ったらしい。幸いにも撃退された。そして、その悪影響にも対処した。

つまり…彼は有機物しか修復できない。だから建物は修復できない。折り鶴を折った少女も、一撃で破壊されたのだ。

俺は電話を握りしめ、密かに誓った。

この件は必ず解決しなければならない。こんな危険な武器を悪の手に渡すわけにはいかない。

それに…この件はおれにも関係している。

しかし、彼は出かける時はいつも頭を覆っていた。まるで、変身するなら制御不能になるかのようだった。

なら、制御しやすい方を選べばいいじゃないか。

もしかしたら…魔力が必要だから?

魔法少女は技を発動するのに魔力が必要なのは知っているだろう。

ああ。

じゃあ…善子の魔力を使えばいいんだ。魔力は魂の大部分を占めるが、通常は無理やり抜き出すことはできない。どうやら彼は何か新しい技術を開発したらしい。

それで…

でも…他に何ができる?

一ヶ月以上も調査しているのに…まだ成果がない。生物学的研究のための毛髪すら抜くことができない。使えるのは君の…その…なんだけ。

魔法スペクトル分析だけだ。

ああ、そうだ。あれ。でもまだ役に立たないのか?

えーと…彼はとても深く隠れていた…

とても深く隠れていた…ああ、地下には色々な空洞があるって言ってなかったっけ?

空洞…でも定期的に科学研究テストはする。異常はない?密度とか化学物質の濃度とか。

彼らの技術力で隠れられるのか?それとも魔法の実験だけか。隠れるのは難しいはずだ。

…そうだ。純粋な科学研究基地で隠れるのは難しいが、生物兵器製造基地なら…

本部に連絡しておく。

さあ、行こう。

地球の安全は我々の協力が必要なんだ。


敵が現れた…そうだ。うわあ!

巨人が近くの街に足を踏み鳴らし、その振動がアパートにまで伝わってきた。

……言うまでもない。

デザインを見れば、触らずともわかる。これはやはりゼンコだ。

窓の外を見ると、巨大な怪物が、ただのパンチとキックだけで、街全体を戦火に巻き込んでいた。

太郎、逃げろ!

そうだ!でないと時間がない。

……わかった。

一緒に逃げるふりをしたが、人混みに飛び込んだら、彼とはぐれてしまうかもしれない。

ごめん。でも……逃げられない。


飛び上がり、渾身の力を込めて怪物の顔面を殴りつけた。

彼はよろめいたが、まだ立っていた。でも、一撃では足りないと思ったので、攻撃を続けた。

彼が忙しくして、おれと戦い続ける限りは。一分でも一秒でも、命を救えるかもしれない。

火の玉とパンチを躱した。躱せないものもブロックした。

全てブロックするつもりだったが、他に方法はなかった。

ここで倒れるわけにはいかない。

しかし、最後には顔面を平手打ちされ、地面に叩きつけられた。

変身状態は維持されていたが、少し…めまいがした。

脳震盪のはずだ。以前、格闘していた時にも経験したことがある。

しかし、今はもっとひどい。もう死にそうだ。

これで終わりか?

悪くない…少なくとも5分は持ちこたえた。なかなかいい具合だ。

…もっと強くなれればよかったのに。

でも、考えても無駄だ。私はただ、とても弱い。とても無能だ。

目の前の怪物は、人類史上かつて現れたことのない、史上最も凶悪な怪物だ。

街は段ボール箱のように破壊され、無数の命が奪われ、私は変身を決意した。

行かないで!

心の奥底で、突然、私の手を掴むような力が走った。

行かないで!

それは…私だった。

おれの手を掴み、変身装置を押したのは、昔の私だった。

本当に…善子を襲うつもりなのか。全てを与えてくれた人を、この手で。そして…自分の体で。

…もちろん。

おれは迷わなかった。冷酷な人間ではないが、おれと善子の間には、恨みなど超越するものがあると知っている。

たとえ彼がそれを知っていたとしても、おれを止めはしないだろう。

太郎!

金城…いや。哲子。そして惠美も。

君…本当に行くの?

おれは…行かなくていいの?

おれは無理やり笑顔を作った。彼らはおれを見つめ、彼らもまた私を見て、一緒に微笑んでいた。

もう行ってしまうの?もちろんだ。大勢の人間が死んでいる。

ならば…せめて、我々が贈った贈り物を受け取ってくれ。

彼らは彼女に全力を捧げた。一瞬にして、彼は体内のエネルギーが溢れ出し、まるで何でもできるような気がした。

彼から光が放たれ、もはや抑えきれないほどだった。

爆発する光の下、巨人が地上に降り立った。

数百年も現れなかった奇跡…今、再びこの世に現れる。

これは…巨人だ。

光の巨人…伝説の中にしか存在しない、魔法少女の最強の姿…

歴史学界に否定された存在…これは…光の巨人…

エンプは、まるで神を崇拝するかのように、その仕草に感嘆した。

あの巨大な怪物に対抗するには…こんな神にしかできない。

そして、私は出発した。

…良い旅を。

夕日の下、私は決意の表情で最後の戦いへと向かった。


巨人…光の巨人が世界を救う!

私は光の巨神と化し、東京の中心部に降り立った。

目の前の怪物はおれの様子を見て、なぜか凶暴になり、狂気じみた攻撃を仕掛けてきた。

闇の怪物が光に耐えられないのは当然だ。

気持ちを切り替えた。愛に囚われているわけにはいかない。

さっさと戦おう。

おれは決意し、拳を振り上げた。

この一撃は奴を太平洋へと直撃させた。

これもわざとだった。

彼の技は恐ろしく破壊力がある。一撃で街が消えることも少なくない。もし防がなかったら、この世界にはもっと多くの罪なき魂が残っていただろう。

なら、海へと導こう。耐えられる以上のものを持っている。


まさか、大規模な戦闘で自分の格闘スキルが使えるとは思ってもみなかった。

彼と戦った。蹴り、パンチ、格闘技、格闘スキル…あらゆる技を駆使した。

定式なんてない。今まで一度もやったことない。とにかく、使えるものを何でも使う。完全な実用主義だ。だって、俺はジム出身じゃなくて、ストリート出身なんだから。

拳のぶつかり合い、脚と脚のぶつかり合い、まるで生まれながらの闘争本能を持っているかのようだった。明らかにただの獣だ。シャンジは戦闘経験がない…

これは本能か…最強の生物兵器のはずだ。

火の玉一つ一つが火山の噴火のよう。パンチ一つ一つが隕石の衝突のよう。

これは自然災害、神の力。これが科学の成果であり、人間の変容の成果だとは信じ難い。

しかし、彼はそうなのだ。しかも、この力は破壊、破滅、そして悪のために使われる。

おれは絶対に許さない。こんな風に彼を殺したら、一生この体で生きなければならないかもしれない。

…でも、他に選択肢はなかった。むしろ、この体で生きていることが幸運だ。

犠牲になった民間人…兵士…そしてシャンズィと比べて。

生きていることが幸運だ。

おれが今ここで戦っている理由は二つある。

一つ目は、これは…おれの体。責任を取らなければならない。

二つ目は、故郷が破壊されることに本当に耐えられない。

能力がないならまだしも…もし能力があったとしても…ただ座って死を待つわけにはいかない。

…でも、もう終わりにするときが来た。

湧き上がるエネルギーが私を戦い続けさせる。すべてが希望に満ち、少し興奮しているように感じる。

しかし、周囲の惨状は私に思い出させる。今は興奮している場合ではない。

おれは絶好のタイミングを狙い、アッパーカットで彼を空へと叩きつけた。さあ…最初の時と同じように。

おれに能力を与えたのはあなたです…命を与えてくれたのはあなたです。今、それを私に受け継がせてください。

意地悪ですが…おれにできることは何もありません。

私は彼にビームを撃ち込み、彼は火の竜巻で応戦しました。

激しい衝突の中、嵐は街を襲いました。

エンプ!お願い!この嵐を止めてください。

おれは…おれにはできません。

やろう。

金城と荒木は両手を掲げ、ゆっくりと爆発を防いだ。

彼らの手から現れた光の障壁は、嵐の威力を一定範囲に制限しました。

あなた…

おれはあなたにすべてのエネルギーを捧げるほど愚かではない!荒木は怒鳴りました。

でも…さあ…私がやります。

激しい嵐の中、私は精一杯の努力をし、嵐のように力を出し切りました。

くそっ…エネルギーが尽きそうです。たった三分だった… 本来よりも短かった。

これが神の如き力の代償か… 残念だ。

だが、これが終わりだ。

私は巨体を脱ぎ捨て、最も純粋な姿で彼と衝突した。

これは一種の自殺…だが、一種の贖罪でもある。

さようなら。善子。

光は炎を凌駕し、怪物の胸を貫いた。

大気圏を突き破り、怪物は月に叩きつけられ、新たなクレーターが追加された。

魔法による衝撃、月の痕跡は地球にも見られる。しかし、真空によって揺らぎは遮断され、地球では何も感じられなかった。

嵐も突き破られ、雲は散り、太陽が再び姿を現した。

沈みゆく夕日だったが、やはりそれは太陽だった。

やっと…終わった…

月に行けず、力尽きて空中から落ちてしまった。

エンプが素早く彼を受け止めた。

勝った。金城は優しく微笑んだ。

そうだ。勝った。

恵美は意識を失ったおれを見て、ゆっくりと降りていった。

ツヨシとナオは下で、二人が落ちていくのを見ていた。

遺跡にはおれたちも数人しかいなかった。

アニキ…いい体つきしてるね。

黙れ。気持ち悪い。

どうしてこんな風になってるの?

わかった…早く戻れ。もう遅い。恵美子は真剣に言った。

祝おう。金城は言った。

おれたちはまた一日を生きた。

同じ夕日の下、おれたちは家路についた。家に帰れなかった人たちのために。

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