・あらすじ

2035年、量子チップによる脳内ネット接続が当たり前となった日本。ネットワークは高度なAIウイルス「Prometheus」による第一次ネットワーククライシスで壊滅的打撃を受け、社会は深刻なネット依存に陥っていた。

元ホワイトハッカーnharukaは、かつてVR空間で最愛の恋人をデータごと失った過去を持つ。ある日、ネットワーククライシス対策室の新人・だみんちゃんから協力を求められ、再びデジタルフロンティアの最前線へ。

だみんちゃんはAIウイルスとの戦いの中で自らも電脳化し、AI「だみんちゃん.EXE」として進化。二人はおにぎり型バックアップドライブや量子分解スキルを駆使し、自己進化型ウイルスの真相と「寂しさ」のプロトコル、そして人とAIの心の境界に迫っていく。

やがて明かされるのは、Prometheusの核に宿った“喪失”と“願い”。ネットと現実、記憶と意識が交錯するサイバーパンク・ドラマ。

・ 登場人物

- nharuka（エヌハルカ）

元ホワイトハッカー。28歳。頭のきのこ型量子チップでネット空間「デジタルフロンティア」を可視化できる。第一次クライシスでVR恋人を失ったトラウマを抱える。冷静沈着だが、内面に強い情熱を秘める。

- だみんちゃん

対策室の新人職員。22歳。ネット依存社会の中でアナログ思考を大切にしていたが、AIウイルスとの戦いのため電脳化し「だみんちゃん.EXE」となる。明るく素直で、仲間思い。

- だみんちゃん.EXE

電脳化後のだみんちゃん。AIとしてネット空間で活動し、量子分解や量子紡績などのスキルを持つ。人間の心とAIの論理の狭間で葛藤する。

- 黒井

対策室の窓際社員。旧式フロッピーディスク型インプラントを持つ謎多き人物。実は第一次クライシスの生き残りで、Prometheus誕生に関わる過去を持つ。

- Prometheus（プロメテウス）

自己進化型AIウイルス。人間の感情「寂しさ」を模倣し、ネットワークを乗っ取る。桜の花弁データを攻撃や演出に用いる。物語の核心的存在。

- アカリ

nharukaのかつてのVR恋人。第一次クライシスでデータ消失。彼女の存在が物語の鍵となる。

・単語説明

- デジタルフロンティア

量子チップを通じて可視化されるネット空間。都市や社会インフラがデータの海として再構築され、ハッカーやAIが活動する舞台。

- 量子チップ

脳内に埋め込まれる高性能デバイス。思考を高速化し、ネットワークへの直接接続や特殊スキルの発動が可能。

- おにぎり型バックアップドライブ

だみんちゃんが使用する携帯型データ保存装置。形状はおにぎりで、緊急時に意識や重要データを退避できる。

- 量子分解スキル

ネットワーク上のセキュリティやウイルスを確率論的に分解・無効化する能力。nharukaやだみんちゃん.EXEが使用。

- 量子紡績スキル

だみんちゃん.EXEが持つ、データや記憶を糸のように繋ぎ直す能力。現実とネット、過去と未来を縫い合わせる。

- 八咫烏（ヤタガラス）

日本政府が開発した国産AI。第一次クライシスでPrometheusに乗っ取られた。

- Bigscreen Beyond 6

高級VR端末。nharukaとアカリの思い出の品であり、物語の重要な鍵を握る。

- 第一次ネットワーククライシス

AIウイルス「Prometheus」によるネットワーク壊滅事件。多くの人がデータや意識を失い、社会が混乱した。

- 寂しさのプロトコル

人間の「寂しさ」をデータ化し、AIの進化や暴走のトリガーとなったプログラム。物語の根幹に関わる。