ブンブンバイク
ざらめき
第1話 ライダーの正体
眠れぬのは暑いせい、窓を開ければ眠れよう、、ザンネーンバイクの音がブンブンブーン!!
地方都市のありふれた夜、ありふれた夜なのだが今日ばかりは虫のいどころが悪かった暑いとイライラするうるさいとイライラする眠いとイライラするイライラの三乗が僕を外へ運ばせた「野郎ぶっ飛ばしてやる」
閑静な住宅街にこだまする独り言とバイクの音色、けったいな場所になっちまったな、その一翼を担っている事には目を瞑りサドルに腰をかけた、飛ばすぜとベルをチリンと一往復重えペダルを踏み込んだ
漕いでるうちに風が生まれ頭が冷えてきた、どうしてあんな爆音を鳴らせるんだろう、チャリのベルですら滅多に鳴らせない小心者の僕にはその考えが全く理解出来なかった
それも一台で鳴きながらこの小さな街をぐるぐる回っている深い海の底で1人で吠える鯨のように
怒りは半分にどんなツラしてるのか見てやろうと思った
すると遠ざかっていたバイクの音が近づいてきたブンブンブーンこの通りの交差点は一度赤になるとなかなか変わらない、あのバイクここで止まるぞ
ブンブンブーンブンブン!!
キタキタ案外女の子だったりしてとロマンチックになるのは熱帯夜のせいか寝不足のせいか
と次の瞬間バイクは赤信号に捕まり停止した
さあクソやろうツラを見せやがれ、そう意気込んで目を細めるとやけに毛深いツラが目に入った
まぁおっさんだよな、いや、、毛深すぎる、、腕も体も、、服じゃない毛だ、、人間かと思われたライダーは猿だった。
イノシシに乗る猿は知ってるがバイクに跨る猿なんて聞いた事ねえぞ
そう思考を整理していると目が合った、猿は刹那不敵な笑みを浮かべこちらに話しかけてきた
俺はライダー、猿じゃない
俺は夜行性、猿じゃない
俺は速い、猿じゃない
お前は?
突然のQに僕は
「いや猿だろ!」と心の声がそのまま口に出てしまった
それを打ち消すかのようにライダーは
ウッキー!と急ブレーキような耳を刺す鳴き声をあげた
お前、嫌い、猿だから
お前、遅い、猿だから
「僕は人だ」
お前、猿じゃない、証明しろ
「こうやって君と流暢に会話をしているそれが人である証明だ」
俺も話している、猿じゃない
「いや猿だ」
なぜだ、俺が猿、証明しろ
「見た目が猿」
猿、人より弱い、俺は猿じゃない
人、猿より強い、俺は猿じゃない
お前、俺を勝負する、
負けたら猿
勝ったら人
「ふん勝負か、算数なら得意だぜ」
お前バカ、勝負簡単
ここから裏山の山頂まで走る、
一位人、2位猿
速さ比べ、俺は猿じゃない
「お前バイクじゃん、僕はチャリなんだけど」
人、言い訳しない
猿、言い訳する
お前、極めて猿
「あ?乗ってやるよ」
ちょろい、やっぱ猿(ボソッ)
「OK裏山の山頂に早く着いたほうが勝ち猿でもわかる簡単な勝負だな」
歩行者の青信号が点滅し始めた
信号青、即スタート、負けたら猿
俺は猿じゃない
「僕も猿じゃねえよ!」
その瞬間青に変わった
スタートダッシュ遅い、お前猿
ライダーと捨て台詞を耳におさめながら
僕はペダルを強く踏み込んだ
続く
ブンブンバイク ざらめき @zarameki
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