第5話

あおいちゃん…久シブリ。外見ガ前ト変ワッタネ』


「その声とその呼び方……広葉ひろは!? 本当に広葉ひろはなの!?」


『ソウダヨ、広葉ひろはダヨ。マタ会エテ嬉シイ…ケド、コンナ姿デノ再会ハシタクナカッタナ』


「やっぱり、広葉ひろはがいきなり自殺したって話は嘘だったんだね。

あたしとお互いの将来の事をあれだけ話してたのに、幼なじみのあたしに何も言わずに消える訳ないと信じてたよ。

だから広葉ひろはが死んだ旧校舎を調べてた、変装と偽名の許可を学校から貰った上でね?」


あおいちゃん、コノ学校ノ"カリスマギャル"トシテ人気者ダッタモン。

裏デ調ベルニハ名前ト姿ヲ誤魔化サナイト探レナイヨネ』


お互いの両手を仲良さげに取り合い、色々と語り合う2人。男子3人組は全くついていけてない。


「な、なぁ…もしかしてだけどよ。あんた、あの天竺てんじくあおいさんか?」


「そうだよ。あたしが葵だよ。

広葉と再会するって最大の目的果たせたからもう隠さないけどね」


『君達ハアイツラノ被害者ミタイダネ?

私ハアイツラニ虐メラレテ殺サレタ1人、花簪はなかんざし広葉ひろは

私含ム7人ガアイツラノセイデ殺サレルカ自殺シテ此処二取リ込マレタノ。

ダカラ君達ノ知ッテル【ナナシの人形】ト事情ガ変ワルワ』


「あ、去年だったか自殺した女子生徒がいたって聞いたけど、あんたの事だったのか」


『ソウネ。タダ…私ヲ殺シタ後モモウ1人自殺二追イ込ンデタミタイデ数ガ揃ッチャッタノ』


思わぬ新事実に3人は思わずポカーンとなるが、すぐに気を取り直して言葉を理解する事に集中する。


「アイツら…まさか高校に上がる前から虐めを繰り返してた、か?」


「去年の自殺者は2人だって聞いたからそうだろうな。アイツら中学時代に何人か自殺に追い込んだんだろ」


「何なら小学校の頃から繰り返してた可能性あんぞ? こりゃあ」


「「「アイツら性根腐りきった人殺しじゃねーか!?」」」


さらなる爆弾に気付き、頭を抱えるも広葉と名乗った少女は隣りにいた人形っぽい男子生徒を指さし説明を続ける。


『彼ガ私ノ後二虐メ殺サレタ男子生徒ヨ』


『ドウモ。オ前達ハ僕ノヨウニ標的二サレナクテ良カッタネ』


『君達ハアイツラノ被害者ノ可能性ガアッタカラ比較的冷静二話セル私達ガ此処二来タノ。

残リノ5人ハアイツラニ復讐スル事デ頭イッパイダカラ、コンナ風二話ス事ハ無理ネ』


確かに殺気や恨み辛みを垂れ流してはいない。逆に自分達がどう言う状況か説明までしてくれるほど冷静である。


『今回ハアイツラニ最初二殺サレテ憑イテタ怨霊ヲ筆頭二被害関係者デ揃ッタセイカ、従来ノ人形ルールカラ逸脱シタ行動ガシヤスクナッテルノ』


『ソノ為二加減ヤカサ増シ取立テモ出来ルミタイデ、アイツラ3人ハ確実二助カラナイ』


『本来ダト犠牲二ナルノハ1人デ後ハ体ノ一部ヲ千切リ取ラレルダケナンダケドネ?

デモ大事ナ葵ちゃん二ソンナ事シタクナイシ、アイツラノ被害者ノ君達二ソンナ酷イ追イ討チ掛ケタクナイナァッテ』


『ダカラ君達カラハ髪カ爪ヲ1枚貰ウダケニシヨウカト思ッテイルンダ。

足リナイ分ハアイツラから取リ立テルカラ問題ナイ』


『葵ちゃんハソノ長イ髪ヲ1束切ッテ渡シテクレタラ良イヨ。

君達ハ…ドウシヨウ? バリカンナ感ジデ髪貰ットコウカ?

運動シテルナラ爪1枚デモ悪影響出ルデショ?

アイツラノセイデ君達ノ将来ガ歪ムノハ殺サレタ被害者トシテ見タクナイシ……』


こうやって4人は実は虐め被害者だった心優しい2人の怨霊の温情で髪を対価に見逃して貰える事となったが、問題の3人はと言うと…。

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