電話番号はえっと...
常盤さん(お休み中)
第1話 不安先は中2、支援先は大人
雨は嫌いだ。
雨の日は友人に裏切られた時のことを思い出すから、嫌いだ。
晴れの日も嫌いだ。
家族が無理やり精神科にボクを連れて行った日だから。
ボクは人のレールから外れた生き物らしい。
普通に生きれていたら、人に保護されることも支援を受けることもなかった。
でも、今のボクは訪問看護を入れて、支援センターの人と話して、主治医になった人と話す。そんな生活をしてる。
ボクはASD、つまりは自閉スペクトラム症だと診断された。
だけど、自分では無理解だ。
主治医の診断を受け入れていないわけではないけれど、人生のレールを歩んできたのに、いきなりレール変更されて支援を受けるべき人間になったことに困惑と悲しさを抱えてる。
生きることへの執着心は人より薄かったが、支援を受けることが決まってから、死ぬことへの歯車が動きだし、生きることへの意欲を無くしつつある。
昨日、友達から電話があった。
友達は酔っていたのだろう。
酔いが醒める前に電話を切りたかったが相手の話に吸い寄せられてしまった。
『崎島、お前電話くらいしろよな。俺とお前は腐れ縁だろ。生きてるかぐらい報告しろよ。またいじめてやるからさ。なあ、みんな思うよな。崎島、また笑えよ。お前のその変な笑いかた、俺はくそ面白いからさ』
『あー、そうだね。ハハ。トシロウも元気なら良かった。じゃあね』
ボクは中2で不登校になる前にトシロウにいじめられてた。そんなやつからの安否確認報告を大人になった今、笑い物にするためだけにかけた間違い電話に似たイタズラはトシロウなりの忘れられないイジメ方なのかも知れない。
生きにくい人生の中でイジメをされた側にしか分からない、生きる方法を見出すのは簡単なことではない。
不登校になれば、全てがうまくいくわけでもない。
ボクは家族からの圧力で不登校にはなり損なった我慢をしいらされた圧力に負けた生き損ないだ。
なあ、ぼくに生きる希望をくれよ。
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