第7話


リコのバッグの中に押し込まれながら、俺はどうにも抑えられない思いに駆られていた。俺はただのクソだ。臭いに決まっている。だが、それがリコにとってどれほど耐えがたいものなのかを知りたかった。俺には言葉を発する機能などない。それでも、彼女に問いかけずにはいられない衝動に駆られていた。


リコはしばらく歩き続けた後、ふと足を止めた。「なに?あんた、私の顔じっと見て…なんか言いたいことでもあるわけ?」バッグの隙間から漏れ出す視線を感じ取ったのか、リコが振り返る。彼女の目が、まるで俺の沈黙を追及するように鋭く輝いた。


「あぁ、臭いって言いたいんでしょ?」リコは鼻をつまむ仕草をしながら薄笑いを浮かべた。「まあね。確かに臭いわよ。でも、私だって似たようなもんよ。クソみたいな人生なんだから。」その言葉に込められた皮肉と諦めが、俺の中に奇妙な共感を呼び起こした。


「それにしても、よくもまあこんな臭いヤツが親を探すなんて思ったもんだわ。ほんと、おもしろい奴ね。」彼女の言葉は冷たく響いたが、その背後にはわずかな温もりが見え隠れしていた。俺は自分の臭いが彼女にとって耐え難いものではないことを理解し、妙に安心していた。

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