第2話
その日、俺の目の前に現れたのは彼女だった。彼女は髪を乱し、ぼろぼろのスニーカーを履いていた。目には何か深いものが宿っているが、それが怒りなのか、悲しみなのか、あるいは単なる空虚さなのかはわからなかった。彼女が俺の存在に気づいた瞬間、全く予想外の行動に出たのだ。俺を手に取り、じっと見つめ、「こんなところに一人でいるなんて、寂しいね」とつぶやいた。
その言葉が俺の存在を貫いた。俺はただの排泄物だ。なのに彼女は俺を見て、寂しいと言ったのだ。その瞬間、俺の中で何かが生まれた。彼女は俺を捨てるのかと思ったが、彼女はどこかに連れ去るつもりのようだった。その行動は俺の思惑を超えていた。予期せぬ彼女の存在が俺の運命をさらに混沌へと導くことになることは、その時点でまだ知らなかった。
彼女の名はリコ。彼女は社会からも家族からも捨てられた若い女性だった。彼女は俺に話しかけるようになり、社会への不満や、自分がこの世界でどれほど孤独であるかを語り始めた。その語りはまるで俺自身の心の叫びのようで、奇妙な共鳴を感じた。俺はただの排泄物でありながら、彼女の物語を受け止める存在となりつつあった。
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