にこにこパンダのパンやさん 〜ティッシュのせかいだいぼうけん〜

@Taximelonman

第1話

にこにこパンダのパンやさんには、

まいにち いろんなおきゃくさんがやってきます。

「いらっしゃいませ〜!」

ふわふわのしろいパンダと、

おともだちのこさいちゃんは、

にこにこえがおでパンをうっています。

ふわふわクリームパン、

もっちりチョコパン、

くるくるソーセージパン……。

おみせじゅうに おいしいパンのかおりがいっぱい!

そんなあるひ――

ふるふる……ふるふる……

おみせのすみっこで、ティッシュのはこがふるえはじめました。

「ねえ、パンダくん。あれ、へんだよ!」

「ほんとだ……へんなかんじがする。」

ふたりがそっとちかづくと――

ぼふっ!!

ティッシュのはこから、

まるいぼうしのおじさんのあたまがぴょこん!

「た、たすけてー!!」

ずるずるずる〜〜〜

おじさんは、ティッシュのはこのなかに

すいこまれていってしまいました!

「たいへんだ!」

こさいちゃんとパンダは、おじさんのあしをぎゅっとつかみました。

でも――

するんっ!

すべって、おじさんはしろいもやのなかへきえてしまいました。

「どうしよう、パンダくん!」

「ぼくたちも、いこう!」

ふたりは かたくてをにぎりあい、

せーのっ!でティッシュのはこに

ぴょーんととびこみました!

ふわふわ、もこもこ、しろいせかい!

ここは――

ティッシュワールド!

そらには、ティッシュでできたふんわりくものしま。

じめんには、やわらかいティッシュのもり。

まっしろなティッシュのかわが、さらさらとながれています。

「わぁぁぁぁぁ……!」

こさいちゃんは、ふかふかのもりにころがり、

パンダは、ティッシュのすべりだいを

くるくるすべりおりていきました。

「ここ、すっごくたのしいね!」

「でも、おじさんをさがさなきゃ!」

ふたりはすぐにたちあがり、

まえへ、まえへとすすみはじめました。

まずあらわれたのは――

ティッシュのもり。

きも、はなも、くさも、ぜーんぶティッシュでできています。

「もしかして、ティッシュのみがなるのかな?」

パンダくんが、ふわふわのきにてをのばすと――

ぽろっ。

ティッシュのかたまりがおちてきました!

そのなかには、

ティッシュうさぎのあかちゃんたちが

ぴょこぴょこかくれていました。

「こんにちは〜!」

ティッシュうさぎたちは、ぴょんぴょんはねながら、

「おじさん?さっき、かわのほうへいったよ!」とおしえてくれました。

「ありがとう!」

こさいちゃんとパンダは、おれいをいって、またすすみます。

つぎは――

ティッシュのかわ。

もこもこしたティッシュのながれが、

しろいじゅうたんみたいに さらさら ひろがっています。

「これ、どうやってわたるの?」

こさいちゃんがかんがえていると――

ぷかぷか、

ティッシュでできた いかだがながれてきました!

「これにのろう!」

ふたりはいかだにとびのり、

ティッシュのかわを ゆらゆらわたっていきます。

ゆらゆら、ふわふわ、

おだやかなティッシュのかわのうえをすすみながら、

ふたりはおじさんのすがたをさがしました。

すると――

もくもくもくっ!

かわのむこうから、

おおきなティッシュドラゴンがあらわれました!

「がおおおおー!!」

ティッシュのからだをくねらせながら、

ドラゴンはふたりにせまってきます!

「ど、どうしよう……!」

「まって!」

パンダくんは、リュックからふわふわクリームパンをとりだしました。

「これだーっ!」

ふんわりあまいパンのかおりが、

ドラゴンのはなにとどきます。

くんくん、くんくん……

ドラゴンは、おおきなはなをうごかして、

ふわふわクリームパンをぱくり。

「……すやぁぁぁぁぁ」

なんと、ドラゴンはそのままぐっすりねむってしまいました!

「やったー!」

「パンのちからって、すごい」

ドラゴンがねむっているあいだに、ふたりはダッシュ!

かわをわたりきると、

そこには――

ティッシュのおしろがそびえたっていました。

おしろのまえには、

ティッシュのよろいをきたティッシュナイトたちがならんでいます。

でも、ナイトたちは

「おじさん?あのまほうのティッシュのところにいるよ!」と

やさしくおしえてくれました。

「ありがとう!」

ふたりは、ふかふかのかいだんをかけのぼります。

おしろのてっぺん――

そこには、きらきらひかるまほうのティッシュと、

それをかかえたおじさんがたっていました!

「こさいちゃん!パンダくん!きてくれたんだね!」

「もちろんだよ!」

「いっしょにもどろう!」

みんなでまほうのティッシュをもって、

ティッシュのもやのなかへジャンプ!


ぱあああっ!


まぶしいひかりに つつまれて、

みんなは パンやさんへともどってきました。

「たすかったぁ……!」

おじさんはふかぶかとおじぎをしました。

「ありがとう、パンダくん、こさいちゃん!

 そしてティッシュワールドのみんなも!」

「よかったね!」

「こんどから、かぜひいたらパンをたべてなおすんだ!」

にこにこパンダのパンやさんには、

また おいしいパンのかおりと、

にぎやかなわらいごえが ひろがるのでした。


おしまい。

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