この、絶妙にサクっと読める感。「良い味わい」と呼びたくなる作品でした。
1000文字程度の三つのショートショートで構成された物語です。
天使のような少女が空から降りてきて、自分の手を握ってくる話。
夜の十字路でパンクロッカーな悪魔と遭遇し、ロックを演奏される話。
旅の途中で謎の老人と出会う話。
どの話も「フワッとした不思議感」を味わうことができるのが魅力です。
壮大な冒険とか、熾烈なバトルとか、そういう肩に力の入った感じではなく、「なんか、不思議だったな!」と結論をつけて元の日常に帰っていける、そんな味わいが魅力です。
言ってみれば、「日帰り旅行」とか「テーマパークへ遊びに行く感じ」のような、「ちょっとした非日常を楽しむ感」に通ずる良さがあると思います。
生と死の狭間にある大冒険とか未知との遭遇とかではなく、「日常に身を起きつつも、なんか不思議な情緒を味わえる」という、どこかホッとする空気。
この作品の魅力は、実際に読んで頂くのが一番だと思います。「うまく言葉にできないけど、なんか良い」と。そう思わせてくれる魅力のある作品です。