亜熱帯男、南極女
かおるとあいこ。
亜熱帯男、南極女
一人の男が自分の住んでいる環境にどことなく疑問を持っていた。
ニュースでよく見かける寒い寒いと言う表現は何なのかと。
彼は非常に裕福でどこへでも旅行に行けるぐらいの金は持っていた。
ただ極度の人見知りや環境の変化が苦手という弱点があるため地元から離れたことは一切なかった。
ある日、"寒い"地域とはどういうところなのかという疑問が毎日頭をよぎるようになり、南極に行くことにした。
そこは想像を絶するほどの銀世界でまるで地面が宝石のように見えた。
薄手で来たため相当な寒さを覚えたが、これが寒さというものかと感動するあまり凍えそうなどどいう感覚は一切感じることはなかった。
彼は1時間ほど南極という地を自分が満足するまで駆け回った。
それをたまたま見かけた少女が声をかけてきた。
「お兄さん、さっきから何をそんなにはしゃいでいるの?」
彼は「楽しくて仕方がないんだよ」と気さくに話した。
南極でそんなことを言う人間などそうそういないので少女は面白がって彼と夜通し遊びまくっていた。彼が住む亜熱帯の話を少女に聞かせると、少女は目を輝かせながら話に聞き入ってくれたし、2人でアザラシやペンギンを追いかけ回して、捕まえたやつを一緒に食べたりした。
気がつけばオーロラが見えるほどの深夜になっていた。
彼は突然少女にこう答えた。
「君のことが好きだ」
少女も「私もよ」と答えた。
亜熱帯に住む男と南極に住む女が恋をしたことによって、その周りのスペースだけが過ごしやすい気温になっていった。
亜熱帯男、南極女 かおるとあいこ。 @kaorutoaico
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