ゆえに酒造

かおるとあいこ。

ゆえに酒造

一人の男がある日アルコール依存症を発症してしまった。

理由は酒の飲み過ぎによる対人トラブルが原因らしい。

彼は小さい頃から酒への興味が著しく、いざ成人を迎えるやいなや浴びるほど酒を飲んでいたという。

そんな彼は根は真面目であった、勉強も出来た。

ただ酒に対する執着心が強かったせいか就職先として酒造家になることを目指していた。

だかしかし前述の通りアルコール依存症の彼がまともに職人として働けるとは思えない、もちろん親やその他家族から猛反対を受け諦めることを決意した。

そんなある日、彼はあることを思いついた。

自分の死んだら遺骨を焼酎に入れて家族に飲んでもらおうと。

自分が酒造によって造られた酒の材料になろうとしていたのだった。

それから25年後、彼は肝硬変により家族に看取られながら静かに息を引き取った。

とても穏やかな顔をしていたという。

翌日、彼の父が彼の鞄から遺書を見つけた。

そこには「遺骨を焼酎に入れて皆で俺を思い浮かべながら飲んでくれ」と記してあった。

その言葉に他の家族たちは賛同し、彼の父は自分があたかも酒造家になったような姿で彼の遺骨を焼酎に入れた。

彼の酒造家になりたいという気持ちは父が受け継ぐ形となった。

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ゆえに酒造 かおるとあいこ。 @kaorutoaico

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