カンガルーの脚

かおるとあいこ。

カンガルーの脚

俺は事あることに飼っていたカンガルーに膝蹴りを受けていた。

ただその時の痛みが嬉しくてむしろ笑ってしまう始末だった。

そしてその表情を見たカンガルーは必ず笑う。

それがまた嬉しくて嬉しくてたまらなかった。

そんな関係が3年ほど続いたある日、そのカンガルーは亡くなってしまった。

それ以来友達のいない俺は昔の様に暴力を振るわれたい衝動に駆られるようになった。

だから俺は自分の腹や顔、腕などを散々殴るようになった。

加減することもなく全力で殴るためもちろん痛い…だがそれが嬉しくてたまらなかった。

ただあの時のカンガルーはもういない。

俺はその日から自分を痛めつけ、痛がり笑いながらも時折カンガルーの事を思い出して涙を浮かべる様になった。

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カンガルーの脚 かおるとあいこ。 @kaorutoaico

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