第9話 お買い物(上)
駅に着くと、ミレちゃんがいた。
「ごめん待った?」
「今来たとこだよ」
「私も~」
「あはははっ。知ってるよ~」
「ぷっ、あはははっ」
今日はミレちゃんとお買い物だよ。ミレちゃんから誘ってくれたんだ。
「中入ろ」
「うん」
改札を通って、ホームで電車を待つことにした。
「今日はなんだっけ?」
「モールで買い物だよ。何でも買ってあげるからね~。何でも言って」
ミレちゃんはいつもこんな感じ。両親公認だからいつも甘えちゃう。でも、ねだりすぎるのは良くないからほどほどにしてる。
「ミレちゃんさまさま~。いつもありがとう。今日も食事代くらいは出すね」
ミレちゃんの家族は遠慮しないでって言うけど、さすがに無理だよ~。
「モールかぁ。久しぶりだよー」
家から駅までは15分。電車3駅で30分。だから行くだけで45分かかる。帰りと合わせて1時間半。だからあまり行かないんだよね。
「時間かかるからね。家に集まって遊んだほうがいっぱい遊べるもんね」
「みんなとモール行くの好きだよ」
「なきなきと一緒なら、どこでも楽しいよ。っと、そろそろ電車来るよ」
「そういえば、今日はどうするの?いつもといっしょ?」
「そうだね。お店見て、なんか食べて、最後に買い物」
「はーい」
話してたらすぐに電車が来た。
駅に着くまで窓の外をぼーっと眺める。この時間結構好き。
手前の建物も遠くの建物も見える。飽きない。ずっと見てられる。車が走って、人が歩いてる。電車ならではの景色。今日はいい天気。空が青いなぁ。
横をチラッと、目だけ動かして見る。ミレちゃんは何考えてるのかな?
「降りるよ」
「うん」
目的の駅着いた。モールは、駅にくっついてるくらい近いところにある。駅からモールのある方に歩くだけで着いちゃう。
「やっぱり人多いね」
「なきなき、はぐれないようにね~」
「はぐれないよっ。心配なら、手繋ぐ?」
「ま、だいいよ。中入って人多くなったらで、ね」
「そうだね。まだ分かんないもんね」
早速入って探索だよっ。と言っても、2階から4階までだね。1階はお食事コーナーって感じだから。
2階は、服と靴とアクセサリーが多い。宝石とか化粧品もある。お店が多すぎてどこで選んでも……あんまり言わない方が良いのかな。
「思ったより人少ないね」
多いには多いけど、はぐれちゃうほどじゃない。
「うん。そうだね」
「もしかして、手繋ぎたかったのー?」
「え、あっ全然。全然そんなことないよ」
「ふーん。ま、いいや。早く行こ」
まずは、ばーーーっとお店を見る。広いから、ゆっくり見てると時間なくなっちう。
「なきなきは新しい服買うんだよね。せっかくだしさ、夏服も買っとこうよ。夏なんてすぐだよ。すぐ暑くなるんだから」
「そっか。そうだね。買っとこう」
2階はいっぱい服があって、見てるだけで楽しい。
「次、3階行こっか」
「もう1周しちゃった」
広いのに、あっという間。
2回の次はもちろん3階。3階は、1階と2階を合わせた感じ。
「お肉いいなー。あ、オムライスある!おいしそう。そば!そばもいいね」
「そんなに見てるとお腹すいちゃうよ」
「しょうがないじゃん。いいにおいが漂ってるんだから」
お兄ちゃんに作ってもらおうかな。
「なきなきあれ」
「ん?」
ミレちゃんの指さす方には、水着屋さんがあった。
「もうあるんだね」
「あれも買っちゃう?」
海は行こうと思えば行けるけど、お兄ちゃん行くかな?
「パス」
なきはお兄ちゃんと行きたいのです。
「そっか。残念」
「なんで?」
「なきなきの水着姿見たかったから」
「今何時?お腹すいてきたから、お昼だと思うんだけど」
「ダメか~。えっとね。ほんとだ12時。お昼だ」
「今行っても人多そうだね」
「だよね。じゃあもう少し見てく?」
「うん。そうしよ」
と言っても、ちょっと飽きてきちゃった。4階にはゲーセンあったよね。
「ゲーセンいこゲーセン」
「いいよ」
4階にはゲーセンだけじゃなくて、服とか雑貨とか、電化製品とかあるんだよ。すごいのがね、映画館!あ、あんまり見ないけど。ごめんなさい映画館。ありがとうテレビ。
「なきなきはゲーセン、よく行くの?」
「あんまり行かないかな。近くにないし、みんなと遊んでたほうが楽しいから」
お金かかるし、取れないし。
「ミレちゃんは?」
「え?あー。あんまり行かないかな」
「じゃあ得意じゃない?」
「UFOキャッチャーとかはあんまり。でも、ぐるぐる回転してるのを掬うやつは好き」
「わかるー。あれ好き。そういえばあれ、何て言うんだろうね」
ミレちゃんがスマホを操作する。早いなぁ。
「スウィートランドって言うらしいよ」
「へーそうなんだ。初めて聞いたかも」
「ね。私も」
UFOキャッチャーをやってみたけど、何回かやっても元に戻っちゃうから諦めちゃった。でもスウィートランドで頑張って、6個おかし取れたから分けて食べたよ。
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