たけのこ

@Sen1926

たけのこ

砂浜に、男の子が立っていた。一本の大きなたけのこをかついでいた。根元にはまだ湿った土がついていた。


火を起こし、皮をむかずに焼いた。焦げる音がして、煙が上がった。


女の子は近くに座って、それを食べた。


「準備できた?」と男の子が言った。


うなずいて、女の子は立ち上がった。


旅が始まった。森を抜けて、石の道を進んだ。塔を登り、地下を歩いた。剣を使い、呪文を唱えた。知らない人と協力し、知っている人と別れた。


時間が過ぎ、何かが終わった。


気がつくと、砂浜に戻っていた。空は薄く曇っていて、風が止まっていた。女の子は座り込んで、眠った。


目が覚めると、男の子がまたそこにいた。手にはたけのこ。前と同じくらいの大きさだった。


「もう一本見つけた」と言った。


振り向くと、ボートのそばにたけのこが立てかけられていた。前に食べたはずのやつだった。


二本のたけのこが並んでいた。


女の子はそれを見て、ゆっくりと座り込んだ。旅の記憶は確かに胸の中にある。だけど、焼いて食べたはずのたけのこが、変わらずそこにある。


「夢だったんだ」


彼女はつぶやいた。誰にともなく。


でも、膝に残る傷の感触や、指先のかすかな魔法の名残が、それを否定するように静かに疼いた。


波が静かに、ふたたび岸をなでた。


この結び方、いい味出てると思う。もしこれをベースにもっと膨らませたいとか、別視点からの続きが欲しいとかあれば、いつでも言ってね。

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