2 異世界に来たら裸だった件

《おめでとう!君は生き返ることができ〼!》


 くす玉が割れ、出てきた垂れ幕。

 付け髭付属の鼻眼鏡をかけたオッサンはクラッカーを鳴らしたままの姿で立ったまま。

 そして確かに、最後の記憶通りの服装で座り込む俺。

 そして真っ白な空間。


 本当に、ここは天国とかそんな所なのだろうか?


「はい!とゆうわけで、君には生き返られるチャンスが与えられました!もう早速ですけど解説のお時間です!」

「はぁ……これはアレですか?転生前の儀式……みたいな?チートが貰えるイベント的なのですか!?」

「おお!あってるあってる!まどろっこしいのは無しにして!早速行こうか!」


 オッサンが指をパチンと鳴らすと床が開いて中から巨大なルーレットが出てくる。


「コレから行く世界はそんなに危険って程ではないんだがな?せっかくだしチートをやろうと思う。だがただやるってのもエンタメに欠けるは運試しをしてもらう」

「運試しって、そのルーレットですか?」

「そう!こいつでお前さんのチートってやつを選ぶわけだ!」


 オッサンはポケットからダーツの矢を出して俺に手渡す。


「5本だ、さっさと投げな?ああ、そうだ。ちなみにだが──



 ※※※※※


「本当に、本当に素っ裸で飛ばしやがったあのおっさん!!」


 チート付与イベントを終えた後、光に包まれたと思ったらいつの間にか暗い森の中に素っ裸で立っていた。


「しかも山?森?!分からんが命の、命を守る行動……とりあえずじっとするしかないっヘブしっ!寒!」


 流石に凍える程ではないが、肌寒いったりゃありゃしない。

 実は「魔物?いないない!元の世界とそう変わらんから危険な猛獣なんて熊くらいかな?」と言われ飛ばされてきた。逆に言えばもしかしたらクマが出るかもしれない。


 必要なのは命の確保、身の回りの安全と防寒。風や雨を防げる場所を見つけるか、もしくは落ち葉などで防寒するのが大事……だとどっかの配信サイトで見た気がする。


 月明かりで周りが見えなくもないが、今のうちに落ち葉などを集めて身体を冷やさないように丸くなる。そうして日が高くなるまで何とかしよう、そう思っていた。


 丸くなって数分、ふと気配を感じたといっていいと思う。傍にある斜面の上側が少し騒がしい気がした。人が居る、とまでは言えないが風や虫が動いたにしては少し大きいような音がした。


 様子を見に行くのは怖い、けど声を出すくらいなら……と考えていた時、上からなにかが「痛ァァァ」叫びながら転がり落ちてくる!


 人だとわかった瞬間、身体は反射的に起き上がり走り出した。身体を受け止めるように構えたが滑り落ち落ちてきた身体事巻き込まれ、落ち葉や土を巻き上げながらなんとか止めた。


 擦り傷だらけになった身体を起こす。幸い身体は傷んでないようなので落ちてきた人の助けに向かう。落ちてきたのは10代くらいの少女だろうか?服はアニメ等で見たようなくノ一衣装だが転げ落ちて来た時に破けたのか少し傷んでいる、腕の部分は赤く腫れている。少し腕に触れただけでも「い、いたぁ……」もしかしたら折れているかもしれない。意識はあるみたいだが顔を顰めて、意識も朦朧としてるのかもしれない。


 呼吸は荒いがしっかりしている事を確認、丸まっていた場所まで運んで彼女の身体を木にもたせかけるようにして座らせた。


「ちょっと待っていてください!上の様子と安全を確保しますので」

「……え?」


 後ろから「ちょ、待って…?!」と聞こえる気がしたが、意識が朦朧とする彼女を助けなければいけない。こんな真夜中にひとりきりで森に来るとも思えない。きっと仲間の人もいるのではないか?そう考え足の痛みも忘れ斜面を登っていく───


 ※※※※※


「…良かった!人がいた!いやぁ、すみません、助けて欲しく…て?」


 登った先にいた彼女達に助けを求めようとして立ち止まってしまった。


 1人は木刀を持った凛とした女性、その周りにくノ一のような格好の女性が複数。そしてこちらを全員見つめたまま固まってしまっている。


 そして気がつく。なるほど、こうゆう時のリアクションはこっちがしないといけなかったな。


「い、いやーん!エッチ♥」


 大事なところを隠すように手を置いて、今せいいっばいのポーズを取る。

 直後、全員の鼻から鼻血が吹き出す!昔のギャグ漫画のような噴出に尻もちをついてしまう。


「っ!隙あり!」


 と、その隙をついたのか木刀を持った女性がくノ一達を目にも見えない速さで仕留める。かろうじて見えた剣技は元の世界でも見たことの無い、美しいものだった。鼻血出してること以外は。


 刀を収めた女性はコチラに早足で歩いてきて、俺は肩をがっしり掴まれた。


「───…えっと何方か存じませんが、何故裸なのでしょうか?」

「こちらにも色々ございまして、詳しいことは語れませんが、とりあえず助けてもらえたら……なぁと」

「分かりました。では少々我慢をお願いします。緊急事態なので少々荒くなりますが、どうか慌てないでいただきまして……」


 彼女はそういうと俺の体を1呼吸で担ぎ上げ走り始める!いやいやちょっと早い!人1人抱えて陸上選手のように軽々と走っていく!


「ちょっと!さっきの場所の下に女性が転げ落ちてきたんですけどぉ…」

「私が落としました!事情は後で説明します!今は逃げなければなりません!千咲聞こえますか!」

『……は……ど……』

「緊急事態、ババ様に裏手を開けるようにたのんでくれ!裏手の人払いも任せた。村の連中に伝わる前に!」

『……了……お』


 耳のインカムか何かから声が少し漏れているがよく聞こえない。俺は担がれたまま木々を抜けやがて漫画の中で良くヤクザや土地を納めてそうな位の人が住んでそうな木造建築の館に連れ込まれた。









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