母と父。父と息子へ、死を巡る精緻な人間心理

常軌を踏んで進めば、たどらない心の動きが記されています。
しかし本作は、読めば当然のように納得するのです。
優れた筆致で綴られた心理描写が、読む者を結末まで連れて行くのです。


疎遠であった父は病を得て車椅子を使うまでに衰えています。
父の車椅子を押して二人で外出した主人公。
彼はその散策で驚くべき話を父から聞ききます。

そして始まる物語。
本作を読むと主人公と父母、その関係性をぐるぐると考えてしまうことでしょう。

何を思って、そんなことを言っているのか?
どうしてそうなるのか?

心の動き。その来し方行く末。
心霊を描き、人間の心理を示す優れた作品です。

ぜひ御一読ください。





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