読むと死ぬ本

ざしき

読むと死ぬ本

この本を買ったのは、ただの興味本位だった。

行きつけの古書店で著者名も、出版社も無く、ただ読むと死ぬ本というタイトルだけがある不思議さに惹かれたのだ。

「いったい、どんなことが書いてあるんだ」

家に帰り、期待とささやかな恐怖を胸に本を開く。

だが、直後にこの本を買ったことを後悔する。

「何だこれ?日記なのか?」

本の内容はどこの誰とも分からないやつの日常を小説のような形式で書いた日記?のようなものだった。

まあ、こういう可能性も考えてはいた。さしずめ誰かが個人で作った、よく分からない痛い作品、そんなところだろう。

だがそんな物でも、読み進めてしまうのが読書家の宿命である。

このしょうもない作品を読み進めていると分かったことがある。

日記?のようなものを書いているのは1人ではなく、何人もの人がこの読むと死ぬ本に書き込んでいる。

日記?はこの読むと死ぬ本を何かしらの理由で手に入れた日から始まる。

日記?の終わりはすべて書いている人が自殺するシーンで終わっていることだ。

最後の特徴に気づいたときは、少し驚いたが所詮それだけである。まだまだ文量はあるが今日はこれくらいにして明日の仕事に備えることにした。


今日は仕事の帰りにホームセンターによって

来た。縄など買ったことがなかったが、意外とそこらの店でもかなり丈夫なものが買えるのだなと感心した。

買ってきた縄を机に置き読むと死ぬ本の続きを読み始める。

相変わらずこの本を手に入れてから自殺していく人々の記述が続いていている。

この本を、手に入れては死んで、手に入れては死んで、ほとんど同じ内容なのでいい加減飽きてくる。

そう思っていると本の途中で記述が止まる。

記述が止まった白紙のページにはこう書いてあった。


ここからはあなたが書いてください


なるほど、逝く前に先達のようにこの本を書けということか。読む側ばかりやってきた私なりに頑張って書いてみたが、上手くかけただろうか。特にここから先は、予想で書かないといけないから上手く書けたか心配だ。

そんな事を考えながら私は椅子に乗り部屋の梁と自分の首にロープを巻き付けた。

そしてそっと足元の椅子を押し倒した。

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