この短編は、戦場の緊張感と切なさを見事に融合させた、近未来ファンタジー作品だと感じました。冒頭の「ここは戦場だ。」という一文が強い印象を残し、読者を一気に荒廃した世界へと引き込んでくれます。

物語の軸となるのは、人類が生み出したアンドロイドとの戦争、そしてそれに対抗するために立ち上がった魔女たちの存在。テクノロジーと魔法、人工と自然という対立構造が鮮やかで、そこに“記憶を代償に魔法を使う”という設定が加わることで、エレンというキャラクターに深い哀しみと神秘性が与えられています。