第9話

日和は守ってあげたくなるってタイプじゃない。


ずっと昔から日和は大人で、全く手がかからない彼女で、俺のことを頼ったことなんて今まで1度もない。



だからかな…。




「藤波先生の彼氏は幸せだな」


「ほんと」



そう言って男子生徒はノートを持ってレジの方へ行ってしまった。




――『藤波先生の彼氏は幸せだな』




本当にその通りだ。

すげーわかるよ。



俺はあんなに日和によくしてもらって、幸せじゃないわけなかった。

昔も今も、これからだって…できれば日和と一緒にいたかったよ。


俺の幸せは、日和そのものだ。



だから…、日和の幸せを見いだせない俺は、日和のそばにいちゃいけないと思ったんだ。



この判断は、正しかったのかな。



どうだろう…。





手に持っていたノートを元の位置に戻して、買おうと思っていたボールペンの存在を忘れ、とぼとぼ家へ向かって歩き始めた。

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