異常存在:風紀委員~存在少女と普通に生活したい俺~

はんぺん〇

プロローグ

幼少のころに見た夢なんか普通なら覚えてなんかいないだろう。



サクリ――


あっけない音と共にボクの口に刃物が刺さる。


たしか、刃物だった筈だ。


月明かりに照らされながら黒髪に覆いかぶさられ、口の中に小さなナイフが刺さる。


怖がる「ボク」から抜かれるナイフを凝視する。


小さな赤い雫が、ポタリと落ちる。


―――ぽつん


―――――――ぽつん



悲しく滴り落ちる刃物の涙は、恐ろしいはずが優しく感じた。


包まれたやさしさに目を薄め、月光のコントラストは鮮明になった。



優しい口づけだった。


その黒髪は、少年だった「ボク」には大層刺激的で目を奪われた。


冷たい床とは違う暖かな唇。


そんな不思議な夢を、今でも僕は鮮明に焼き付いていた。

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