(短編)エロいスキルを手にした高校生たちが、欲望の赴くままにエロいことをする話
sakusaku
第1話 撫子かれん 能力『三擦り半』
――なにこれ……もしかして、これが私の能力?
グラウンドの片隅で、サッカー部のエースである鹿島シュウタが股間を抑えながら悶絶している。
「あっ……うん……ふっ……!」
体をくねらせながら悩ましい声を出す鹿島シュウタは、一試合で何得点も量産する絶対エースにはとても見えず、まるでアレが終わったあとの余韻に浸る女の子みたいで、なんだか可愛い。
もちろん、彼が股間を抑えているのはボールが当たったからではない。
私、
スキルが発動したのはたまたまだった。
部活の練習ゲーム中、鹿島シュウタがこぼれ球を取ろうとして膝を擦りむいてしまった。
膝を抱えながらコートにうずくまる鹿島。
マネージャーである私は救急箱を持って彼のもとに走った――。
「うわぁ、痛そう……」
膝頭についた無数の擦り傷から、真っ赤な血が滴っている。
当の鹿島シュウタは擦り傷くらい日常茶飯事なのか、「別に大したことねぇって」と白い歯を見せて笑った。
すぐに傷の処置にとりかかるべきだったけど、鹿島シュウタがあまりにも平然としているものだから、ちょっとしたイタズラ心が芽生えた。
怪我の部分ではなく、すこし離れたところに手をあてて、なでなでする。
「いたいの、いたいの……とんでけぇー」
ガキじゃねぇんだしやめろよ。
そんな反応が返ってくるかと思っていたら、とつぜん鹿島シュウタの体がビクンと震えた。
「ご、ごめん……なんか痛いとこさわっちゃった?」
「いや……だ、大丈夫。もっと……さすって……んっ」
言われたとおりに足を優しくさすると、鹿島シュウタは「あん」という嬌声をあげて果ててしまったではないか。
はじめ、何が起きたかのか分からなかった。
しかし、氷がゆっくりと溶けていくように、私は自分のスキルについて理解していったのだった。
映画のナレーションのように、脳内でスキルに関する情報が再生される。
能力名――『三擦り半』
内容――対象にふれ、三擦り半することで相手を絶頂させることができる。なお、触れる箇所はどこでもよい。
私はこのスキルのどのように使えばいいか、完全に理解していた。
「かーしーまーくぅーん」
達した余韻に浸っている鹿島シュウタの肩に手をかける。
こんな素晴らしい能力が私に宿っていたなんて。
となれば、やることはひとつ。
「撫子……いまはちょっ……さわらな……んっ!」
「あ、ごめん……どこか痛いとこさわっちゃった?」
「いや……そんなことないけど……」
「それよりはやく傷の処置をしないと。さ、傷をみせて」
傷の処置をする際、こっそり鹿島シュウタの足を一擦りする。
「んっ」
さらに一擦り。
「だめっ!」
さらにさらに一擦り。
「やばいやばいやばい」
これで合計三擦りだ。
ビクビクと体を震わせながら涙目でこっちを見てくる鹿島シュウタ。まるではじめて間接キスをした女の子みたいな可愛らしい顔だ。そんな情けない顔をされると……下腹部のほうがじわりと熱くなってくる。
「え、なにかやばかった? じゃあもうやめておくね」
手を離すと、鹿島シュウタは「やめないで」と言って私の腕をつかんできた。その必死さが私をさらにムラムラさせる。
「その……続けてくれよ……」
「続けてください、でしょ?」
「続けて……ください」
「あははぁ。かしまくんはいい子でしゅねぇ」
お母さんに叱られたちびっ子のように俯く鹿島シュウタ。華麗にゴールを決めてガッツポーズを取る、あのかっこいい鹿島シュウタはどこにもいない。
それにしても。
かわいい……。
そしてもっともっとイジメたい。
「しょうがないなあ」
私が半擦りすると、鹿島シュウタは「てぃん!」という意味不明の声をあげて果てた。
自分の性癖に気づいたのは、小学五年生のときだった。
ある日の日曜日、私は暇だったので三歳上の兄の部屋に遊びに行った。ところが兄はいない。
漫画でも読もうかなと思って本棚を調べていると、ふと、漫画と漫画の間にDVDが挟まっていることに気づいた。
エッチなDVDであることはすぐに気がついた。パッケージからして明らかだったし、そもそもタイトルが『拝啓、M男くん』だったのだ。
私はいそいでケースからDVDを取り出し、デッキに入れて再生ボタンを押す。
画面の中で、どうみてもオッサンにしかみえない制服を着たキモ男が女性に弄ばれていた。
おそらく兄は男性側の視点でDVDを視聴したのだろう。
一方の私は女性側――つまり「責める側」目線で視聴したのだった。
それから一時間半。
私は最後の作品紹介までガッツリDVDを視聴し、兄の部屋を後にした。
自分の部屋に戻り、鍵をかけ、脳内のイメージが新鮮なうちに事を済ませた。
「なでしこしゃん……も、、もうむりでしゅ……ごめんなさい」
鹿島シュウタはよだれを垂らしながら私に許しを請うている。
しかしそんなことを言われたら、許すはずがなかった。
もう何十回と絶頂した鹿島シュウタは、私の手が触れる直前――びくんと震えた。
「ひんっ……!」
「あれぇ? まだどこもさわってないよ?」
パブロフの犬のように、鹿島シュウタは私の手がふれるだけで絶頂してしまう体質になってしまったようだ。
無事、調教完了である。
さっきはやめてほしいと言っていたくせに、まだ欲しそうな目で私の顔色を伺っている。
やれやれ。
それなら、お望み通りもっといじめてやることにしよう。
ちなみにその後、部活中のケガが多発したのは言うまでもない。
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