井戸

ヤマシタ アキヒロ

井戸

光とどかぬ


地下深く


闇を貫く


円い壁


鏡のような


水面の


影は見えねど


音のする


青い雫を


響かせて


時の重さを


重ねつつ


遠い過去から


未来へと


長い釣瓶を


手ぐり寄せ


現れ出づる


盥より


命の水を


一掬い


口に含めば


たまゆらの


冷たきものが


喉を潤す


    (了)

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井戸 ヤマシタ アキヒロ @09063499480

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