ハンニバルさんと大スキピオさんが、ただひたすら日本で生活してる「だけ」のお話

こだいじん

第1話 プロローグ、皆がよく知るあの二人の最期

 かつてローマを激震させた一人の男がいた。

「カンネーの戦い」でアルプスから37頭の戦象を引き連れた「たった一人の男」によって。


 その男の名はハンニバル・バルカ。


 紀元前183年、ザマの会戦敗戦後、ハンニバルは各地を転々としながらも最後は毒を自ら煽り、死んだ。

 カルタゴ側からも見捨てられた、ローマにも追われながらの彼の最期の言葉は。


「ローマを…安心させてやるか」と言い残し、この世を去る、享年65歳。


 同じく、「ローマのハンニバル」と吟われた男、スキピオ・アフリカヌス。


 かの有名な「ザマの会戦」でアルプスから像を乗り、我が国を暴れ散らした「アイツ」に思い知らせてやった。


 だが、自分の一生とは解らんものだな。

 国の政争には「負けた」。一族の墓にも入りたくない。


「恥知らずのローマには、戻りたくない」


 ローマから出て陰遁生活後、ひっそりと孤り亡くなった、享年54歳。

奇しくも同年にハンニバル・バルカが毒杯を食らい自害を選んだ、紀元前183年の悲劇的な運命の出来事である。

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