第7話 共創の力 ― 「私たち」で生み出す第三の答え
人が集まり、力を合わせるとき、
その結果は単なる「和」ではなく、**“新たな可能性”となって現れる。
それが、コヴィー博士が語った「シナジー(相乗効果)」の真の意味であり、
第二の7つの習慣においては、“共創の力”**として再定義される。
「自分一人でできること」では届かない場所へ、
「誰かとともに歩むことで」たどり着ける。
それが、人生の後半において必要とされる、
“つながりから価値を生み出す”生き方である。
● 「正しさの対立」を超えて、「豊かさの統合」へ
多くの対話は、いつのまにか「どちらが正しいか」という議論に変わっていく。
だが、成熟した共同体では、「どちらか」ではなく**「どちらも」から生まれる第三の道**を求める。
例えば――
・売上を伸ばすか、社員の健康を守るか → 両立できる仕組みは何か?
・家庭か仕事か → どちらも大切にできる働き方は存在しないか?
・伝統か革新か → どうすれば両者を調和させ、新しい価値が生まれるか?
このような問いを共有し、相手の立場を尊重しながら創造的に考えること。
それが、共創の力の核心である。
● 「違い」は脅威ではなく、ギフトである
共創が可能になるためには、まず前提を変える必要がある。
それは、“違いを恐れる”のではなく、“違いに感謝する”こと。
・若者の視点が、自分にはない可能性を照らしてくれる
・異なる文化や背景が、チームの視野を広げてくれる
・意見がぶつかったときこそ、対話によって真の理解が生まれる
このように、“違い”は私たちの成長のきっかけであり、
よりよい未来を生み出す源泉となるのだ。
● 「自分たちで答えをつくる」共同体へ
かつての組織は「答えを持っているリーダー」が中心だった。
しかし、変化の激しい今の時代、正解は一人では見つけられない。
だからこそ、対話と試行錯誤を通じて「共に答えをつくる」共同体が必要となる。
それは、すぐには答えが出ない問いにも向き合える、
信頼と忍耐の文化の中にしか育たない。
そしてその中心には、「自分が正しい」と主張するのではなく、
「よりよいものを、みんなで探そう」と語る人の存在がある。
● 習慣5:「違う意見に“感謝”を伝えてみる」
今日から実践できる第五の習慣:
自分と異なる意見をくれた相手に、まず「ありがとう」を伝える。
・「その視点は自分にはなかった」
・「なるほど、そういう考え方もあるんですね」
・「ちょっと考えさせられました、ありがとう」
この一言が、対立を和らげ、**“共に考える空気”**をつくる最初の一歩になる。
そしてやがて、チームや家族の中で、創造的な答えが生まれ始める。
人生の後半において、孤高のヒーローではなく、
**“共に歩む仲間”**としての在り方が求められている。
それは、未来に何かを残したいと願うすべての人にとって、
最も自然で、最も力強い生き方ではないだろうか。
次章では、この「共創」によって生まれた結果が、
いかにして「社会的意義」や「次世代への継承」となっていくのかを探っていく。
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