感情透過

@sonowa00

第0話 感情透過

物心ついたときから人がどう思っているのかわかる気がした。


「あの子、今怒ってるな」

「この先生、本当は自信ないんだ」

「この人、今、寂しいのに笑ってる」


そんな風に、言葉の裏にある“気持ち”を、自然と感じ取っていた。


いつからかはわからない。

でも、気づいた時には“感情”が、色として見えるようになっていた。


怒りは赤。悲しみは青。喜びは金色。

光の濃淡、揺らぎ、大きさ。

人の感情は、まるで空気に混じった“光”みたいに、僕の視界に溶け込んでいた。


人とすれ違うだけで“イライラ”がぶつかってきて、教室に入れば“苛立ち”や“孤独”が混ざり合ってる。

誰かの“嘘”なんて透けて見える。


最初はみんなが見えるものだと思っていたが、違ったみたいだ。

僕はこの能力を隠しながら生きている。

そして...



――“僕はこの能力が、嫌いだ。”

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