肉欲

@hevy0724

第1話

どれだけ殴られたのだろう。

両目は腫れ上がり、鼻からは息ができず

噎せ返りながら息を吸うのがやっとだ。


限界まで息を吸うと、口の中に反り立った異物を挿入され

ついさっきまで食していた料理が

ドロドロと口から溢れた。


なぜ、こんなことに。





2時間前


仕事帰りに行きつけの居酒屋で仕事の鬱憤を晴らそうと

普段は飲まない日本酒を煽り、店主に愚痴を吐いていた。

「私は営業なんて向いてない…。新卒の教育だって舐められてばかりで、何も向いてない!」

煽っていたグラスをドンっとカウンターに当て、店員に「まぁまぁ、飲み過ぎですよ。お水をどうぞ」とあしらわれ、居心地が悪くなり


「すみません、飲みすぎました。お会計お願いします」


店主には「またお待ちしてます。あまり気を落とさず、頑張ってください」と激励を与えれ、ふらふらとした足取りでその店を後にした。


5月も近いのに、肌寒い夜だった。


歩くうちに少し良いが覚め、帰路によく見る

入ったことのないBarが目に入り

程よい酔いの勢いで、入ってみることにした。


普段はウィスキーやジン、ラムを好んで飲む為

行きつけのBarを作りたかった事もあった。

とはいえ居酒屋と違って料金は倍以上かかるのが相場なのは知っていた。


だが、今日はたまたま手持ちに余裕がある。

2、3杯くらいは飲めるだろう。


そんな軽い気持ちで

Barの重い扉を開いた。

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