転生先は竹の模様

朝鳥

1.死にました。竹になりました

「疲れた」


今日もゲンキに会社員しゃちく生活十徹


現在二時、私がいるのは…そう!会社でぇす!


…これくらい明るくしねぇとまじでやってられん。


絶賛仕事中、なんとかもうすぐ片付きそうな状況。


他の奴ら全部俺に押し付けて帰ったので今は一人。


ただ大口案件なんでやらない訳にも行かず。


「さあ後は…大体レッドモンスター一本分で片付けれるか。ぐびぐぶぇっ」…


なんか頭がボヤぁっとして回らない。


なんだ?なんか視界が回転してる。


そんでもって暗くなって…。


◆◆◆◆◆◆


「イヤどういうことだよ」


俺死んだの?さすがにあの会社も死人がでれば健全になるかな?


それなら生まれ変わってもっかい入りたいような。


勤務時間と一部上司以外のブラック要素はほぼなかったし。


まあ白の紙に黒いインクをバケツでぶっかけたら真っ黒になるんだから仕方ねぇや。


やっぱ輪廻案はボツだボツ。


「輪廻は嫌か?」「うぇ!?」お前だれ!?


「お前というなお前と。私は『テルース』。これでも神の一柱だ。」


「心読むなよ、ってか神?」んな簡単に出てきてたまるかダウトダウト。


「本当のことだ。で誰かに聞いてみたら良いんじゃないか?」


?」


「そうだ。私の担当は地球、いや宇宙とも違う別のところだ」


「ほぉん?」「それで、今お前には二つの選択がある。私の世界で生まれる、いわゆる『転生』というものだな。それか、普通に地球で新しい生を受けるかだ」


「転生!?転生だって!?」絶対やるわそんなん!


「妙に乗り気だな…他の世界で怖かったりしないのか?」


「この俺がこぉぉんなチャンスをみすみす逃すとでも!?」


「はぁ…まあいい、じゃあそれで決定で」


「転生者への何かはあるんですか?」


「まああるにはある。だが世界の均衡を崩さない程度ということは理解してくれ」


「へい」


「まあ自分が多く触れたものや、喜んだ事柄などがスキルになる」


「ほう」


「おっ、準備が整ったか。それでは、『竹』として世界を満喫してくれ」


「了解でぇす…って、なんて?竹?」


「そうだが?」「えっなんで人間とかじゃ」


「もしや人間が良かったのか…?お前の『嫌な生物ランキング』を参照したら一番にハゲでデブの人間が出てきたから真っ先に除外したのだが…」


「あっそれクソ部長だ、あぁ今からでも腹立つ…」


あんなしがらみがあるならやっぱ人間じゃなくてよかったかも。


「まあそんなこんなで竹だ、あとは頑張れ。」「うぃっす」


色々心配だけどなんとかなるかな?


視界が暗転した。


◆◆◆◆◆◆


明転。


『来たの…か?』


目に見えるは一本だけ生えた竹。俺だな多分。


『俯瞰視点…みたいな?』


自分中心に全方向見える感じらしい。


『さてどんなスキルがあるかな…!?』


――――――――――――


名称・―――


種族・バンブ(インテレクチュアル)


Lv・1


HP・110/110


MP・220/220


欠損・―――


効果・―――


技能スキル・〈魔術マジック〉木魔術 Lv.1


   〈標準ノーマル〉操竹技 Lv.1


   〈希少レア〉空竹干渉 Lv.1


       魔目


       魔耳


       自調把握ステート・アナライズ


       永遠記憶アーカイブ・メモリ


   〈唯一ユニーク労働対価ボーナス


       生水換力エネルギードリンク


――――――――――――


『うおぉぉボーナスぅぅう…………もういいや』


人は興奮してるときに、自分より興奮してる人を見ると冷静になるとか。


それは竹でも、っていうか自分を見てもなるっぽいね。


だって視界の真ん中に、オヤツ前の犬の尻尾の如くブンブンしてる竹見たら冷静にならんほうがおかしい。


……いやそんな竹みたら驚いて冷静にもならんわ。


まあそこはいいんだ、閑話休題。


『んで…木魔術?火水土風じゃないのか』


俺が知ってるのといえば、基本の四属性に特殊属性、複合属性とかである。

じゃあこれは基本属性じゃない特別なやつなのか?

とはいえスキル名もよくわからん今、使うことは諦めるっきゃないか。


そんで多分魔目と魔耳ってのは、目と耳が竹にはないからそれっぽいの作れるスキルみたいな?

だとしたら味覚嗅覚触覚も再現してほしいけど。


…つーかなんだこの「生水換力エネルギードリンク」って。

名前がまんまエナドリなんよ、生前そんなに飲んでたの俺。


まあ一回、全部のスキル唱えて


『「生水換力」』


なんも起こった気がしないんですけど。


『「労働対価」』


なんか起こった気がしな(略)


『「永遠記憶」』


なんも起こった気(略)


『「自調把握」』


なんも起こ(略)



あとは「操竹技」と「空竹干渉」か。


まず「操竹技」は名前からなんとなくわかる、竹が扱いやすくなるんだろう。


まあそんでも手がなくて扱うもクソもないから「空竹干渉」で竹をさわれるってことかな。


まあやってみよう。とりあえずわかりやすそうな「空竹干渉」で自分を押してみる。


ミシ。


おぉ。思ったより感覚は似てるらしい。


すぐ慣れそうだ。


もうちょい押して…


ミシミシ、ボキ。


折っちまった。まあいっか。


今度は折れたやつ持ってみるか…めっちゃ簡単だった。


んじゃ「操竹技」。持ったこれを振ってみよう。


ブン。


一閃できた。鞭みたいな感じだ。


じゃあ次は突く感じで。


ヒュッ。


おぉ。槍みたいだ。いいね。


というか労働対価ボーナス生水換力エネルギードリンクも何がなんだかよくわからんのよ。スキルの詳細は…見れないのか。


他にも色々気になるし、そこらへん探索してみっか。


自分の場所から南側、草原を見回す。なんか「視点」はあるっぽい。


見えない方向はなくても、自分の見てる向きで見える距離が変わるようだ。


諸君。どうやって動くか気になるかい?あぁ気になるだろうそうだろう。


『折れたのを「空竹干渉」で持ち上げる!「空竹干渉」で転がす!あとは「空竹干渉」で微調整だぁ!』


すんごい脳筋な方法。でも今あるスキルで、他に多分動き方無いんだよなぁ。


――――――――――――


MP・88/100


――――――――――――


思ったより使ってた。気をつけよ。


『さぁてなんかないかな?』


なんかいました。


『こんにちは鳥さぁん!』


正面から一突き!


グサッ。うわぁ、中が見えるよ。


まあとりあえずこいつは放置で…。

ズズズ。


なんだ?なんか吸ってるような。


スキルがどうとかなのか?一旦みてみるか。


――――――――――――


MP・89/100


技能・生水換力(使用中)


――――――――――――


お前かエナドリ。


んでなんかMP増えてる。


漢字と今の状況からして、「生水」とやらを吸ってMPへ還元するっぽい。


『うわぁミイラになっちゃった』


この死体どうにか消し去りたい。多分無理なんだろうなぁ。


まあここに置いてきますか。あとは誰か処理頼んだ。


おっ生水換力終わったぽい。最終MPは…93か。よく上がった方じゃないか?


よし、探索続行。


『「空竹干渉」!「空竹干渉」!おっさっきの!』ドスッ。

『ほいMPゲット!あっさっきの見てたのかい、走って逃げてる魔鶏チキンさん!君も楽にしてやろう!』

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