仲間を信じて

Veroki-Kika

第1話 夜の屋敷で

「——————♪」

「あの子…」

水を飲みにきた音は屋根の上で歌う隣の公家の長男を見た。

屋根の上で歌う姿はまるで、月のせいのように神々しい。

その時、

ガタガタガタ!

隣の屋敷で物音がした。

「若君!若君!」

「どこにおられるのですか!」

「そっちにいたか!?」

「いや!いなかった!」

どうやら歌っている少年を探しているようだった。

「いた!」

「見つけましたぞ!若君!」

「あ、やばっ!」

重臣に見つかり、少年は焦ったような表情になる。

ゴンっ!

「いったぁ…!」

「歩夢!こんな時間に起きるな!お前がいなくなったと、侍女が慌てて部屋に飛び込んできたぞ!」

「ち、ちちうえ…」

男が少年を怒る。

すると現れた少女が呆れたように笑った。

「よくこんな時間に起きてこれたな。歩夢」

「えへへ…」

「褒めてない!」

そして歩夢は、起きてきた重臣たちに引きずられるように連れて行かれた。


「あの子…」

(なぜでしょう…これが、恋というものなのですか…)

音は心の中で自分に問いかけた。

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