鬱と食
白井エフ
鬱とウーバーイーツ
風呂に入れなくなった。外に出られなくなった。仕事に行けなくなった。一日一食のウーバーイーツだけが生きる糧になっていた。身体的にも精神的にも。自分で何かを選択できているという具体的な実感がほしかった。無為に過ぎる時間の中で、それでも自分の意志で何かを選び、つかみ取り、己がものとして蓄える感覚を与えてくれるのがあの緑のアプリだった。その日唯一の玄関の開閉を、一瞬の換気を、外部との接触を与えてくれるのが配達員だった。私とは違う、外に出て働いている人々。
貯金を崩しながら延命している。生きることをやめられないので生きている。申し訳ないと思いながら食べている。食材に。生産した人に。加工した人に。作った人に。運んだ人に。働きに。
食べ終わる。満たされる。腹が減る。繰り返す。
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