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晴れ着ではなくほっとした。
地味な格好だ。
あの写真は両親が選んだのだろう。
母親はとても派手でにぎやかな感じの人で、本人は、とてもおとなしい。
真正面に座らされたのもあるだろうけど、終始目線は下だ。
両親同士ばかりが話している。
「じゃあそろそろふたりだけで。」
「そうですね。」
そういう段取りか。
4人がぞろぞろと個室から出ていく。
彼女はうつむいたままだ。
「今日はいい天気でよかったですね。」
ちょっとうなずいた。
「ここは始めて来ました。来たことありますか?」
首をゆっくり横に振る。
やれやれ。
「お母さまは明るい方ですね。」
くすっと笑う。
いやまて、こりゃどうすればいいのだ。
「小さいころお宅へおじゃましたことがあるのですが、その時会ってましたか?」
ちいさくうなずいた。
そうか。会ってるのか。全然覚えていない。
しかし、声を発してくれないんだなあ。この人。困ったなあ。
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