高校編

第17話 新たな出会い

春は別れと出会いの季節。


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入学式の前の顔合わせで、俺はクラスメイトから質問攻めにされていた。

顔かたちが微妙にニホーン人とは違うから物珍しいんだろうな。

それに見た目だけならめっちゃ美少女だし。

いや〜人気者は辛いっすわw



「留学生なんだ、どこから来たの?」

「マソリア」

「へー、そうなんだー!」



ずっとこんな感じである。

···いや本当にキツいなこの会話。

“外国人の俺”にばかり話しかけられてる感覚というか···どことなく壁を感じる。



◆◆



死ぬほど退屈な入学式を終えた教室で、俺は隅の席に座っている女の子に声を掛けた。

顔合わせの時、俺に声をかけなかった子だ。



「···こんにちは」

「えっ、あ、こんにちは?」



瞳をじっと見つめる。

ふむ···素晴らしいものをお持ちですねぐへへ。



「魔法、使えるの?」

「!? なんでそれを···」

「やっぱり」



『魔法使いの瞳は、普通の人間とは違う』

ビリーのおっさんが言ってたことは本当だったらしい。

例えば火属性の魔法が使えるなら赤色、水属性なら水色。

極稀だけど、複数属性が使える場合は一番得意な魔法の属性の色になるらしい。



そして彼女の瞳の色は···

おっさんから話を聞いた時は『(なんだよ、黒って普通じゃん!)』と思ったが、こうして実際に見てみると分かる。



彼女の瞳には光が無い。



白目の部分や角膜が黒目になっているわけでは無いんだけど、なんというか···アホみたいにスケールの大きな力を感じるというか。

ダンジョンに潜りまくって魔力という概念に慣れ親しむと、なんとなく感じ取れる違和感。



「使えるんだ、重力魔法」

「······うん」



『頼りになる仲間を見つけたなら、無理のない範囲でダンジョンに潜っても良い』

ビリーのおっさんに言ってやりたいわ、“初日で見つかったかもしれんぞ”、って。






その後もいろいろ質問した結果、



・ダンジョンアタック経験者

・重力魔法は一応発動できるけど凄く下手(と本人は言っている)

・朝は米よりパン派

・現在Eカップ(しかも未だ成長中)



···非常に有益な情報を得ることが出来た。

ちなみに俺は“すとーん”体型です。絶壁。

誰も聞いてない?そうね···



☆☆



一目見て、凄い美人···というよりは美少女だと思った。

長く艷やかな黒髪に、異国的な整った顔立ち。

平均的な私よりさらに低い身長もあって、守りたくなるような気持ちにさせられる。

朝の顔合わせの時間でもクラスメイトに囲まれていて、私とは住む世界が違う人間なのだと思っていた。



そんな彼女が声を掛けてきた事は、私にとっては大きな衝撃だった。

重力魔法の事も一瞬でバレて、それはもう大いにビックリした。

···胸の大きさを聞かれた時は頭の中が『?』マークで埋め尽くされたけど。



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素晴らしいもの(重力魔法)をお持ちですね

素晴らしいもの(たわわ)をお持ちですね


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