第8話 「魂ノ輪郭、揺レ始メ」

【模倣体・形の“変質”】


紫音の一撃を受けた模倣体――

一度はひざをつくが、

その瞬間、まるで粘土のように形が揺らぎ出す。


頭の輪郭、肩の傾き、構え。

それらが“紫音”に似ていく。


空斗「やっぱり……奴は“斬られた魂の断片”を“反転・複写”してる。

紫音、もう下がれ!」



【紫音・下がらない】


紫音「――せやけどな」


「こんな奴に、俺の“命の意味”まで真似されるわけにはいかへん!」


再び、紫の蝶が舞う。


双小太刀の連撃。

一閃ごとに、模倣体の形が揺れ、再構築されていく。


それでも紫音は止まらない。


「俺が護られて、ここにおること――

お前なんかに、模写されてたまるかぁっ!」



【反撃・模倣体の斬撃】


模倣体が、紫音の動きを“学習”し、

その太刀筋に似た軌道で反撃に出る。


紫音がわずかにかわす――が、

その太刀の一閃が、

紫音の左腕を裂いた。


「……ッ!」


鮮血が舞う。


紫音は口角を引き上げて笑った。

でも目が、少しだけ苦しげに細まっていた。


「痛ってぇ……でも、まだ動けるで……」


咄嗟に斬られたところを抑える。

赤い血が滴り落ちる。



【春陽、駆け寄ろうとする】


「紫音!今すぐ結界の中戻って!」


けれど、

その足が止まった。


――目の前の空間が、“沈んで”見えた。


春陽の目に、

**重力でも霊圧でもない、魂の“圧”**がかかったような揺らぎが映る。


「……な、にや、これ……」


耳鳴り。

目の奥がチリ、と焼けるような感覚。


(……霊圧が、“俺の魂に触ってくる”……?)



【空斗・支援に回る】


空斗が紫音の傷を最小限に抑えるため、

結界の再展開を準備。


空斗「紫音、右へステップ!

“霊圧フィールド”、再展開!今だけ押し込める!」


紫音「おう、助かる!」


______________________________________


紫音の“魂の色”を映した敵が、

今なお蠢いている。


けれど、模写できないものがある。

魂の奥でしか交わされない、信頼の言葉。

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