第3話 「初揺レ、牙ノ音」

【午後・第二調査地点・朽ちた橋の跡】


3人は崩れかけた石橋のそばに移動し、

空斗が再び測定装置を起動。


カチリ、と金属音が響くと、

機器の中から細くうねるような霊圧の変化音。


「……出た。異常反応。先ほどより波が大きい」


空斗が眉を寄せる。


「微量だけど、連続した“霊子の重複反応”がある。

ここ、何かが通った跡だ」


紫音「……なんや、地面がピリピリする思てたら。

これ、魂が“ズレとる”みたいやな」


春陽「霊圧が“足跡”になっとるってことか……」



【異変・発生】


ピシリ、と音を立てて――


周囲の空気が裂けた。


突如、建物の影から複数の小規模虚が出現。


数は五体。

サイズは中型だが、動きは素早く、霊圧の質に“濁り”があった。


紫音「またか……」



【空斗・即応】


「戦闘開始。配置は前衛:紫音、補佐:春陽、指揮支援:俺」


空斗は白銀に光る斬魄刀【白夢】を抜き、

霊波を調整しながら空間の“揺らぎ”を拡張。


「紫音、左から一体回り込んでくる!」


紫音「任しときぃ――!」


【解号:「舞い散れ、“胡蝶繚斬”」】


刀が双小太刀に変化、

紫色の蝶が虚の周囲にふわりと舞いはじめる。


「……しっかり毒、刻ませてもらうで!」



【春陽・支援】


春陽は素早く印を組み、

虚に向かう道を閉じるように防壁を展開。


「“迎撃結界・薄陽”――よし、これで包囲や」


彼の霊圧が淡く光るように広がり、

虚の動きを緩める“拘束”の波が虚に絡みつく。



【短い激闘・そして異変】


紫音がすばやく前進。


「――ほな、一丁刻ませてもらおか」


小太刀のひと振りが、

虚の胴体に薄く蝶の形を残す。


次の瞬間、蝶の痕が霊的干渉毒として発動。

虚はよろめき、鳴き声も上げられずに崩れる。


だが――


残った三体のうち一体が、

倒れた虚の“霊圧”を取り込むように、口を開いた。



【空斗、すぐ反応】


「取り込む……!?自己進化型か!」


「春陽、次の防壁“横展開”で押さえろ!

紫音、二歩下がってカウンター配置!」



【紫音、笑いながら後退】


「おおっと、なかなかアグレッシブやん……

けど、こっちも負けてられへんで!」


“ただの雑魚虚”じゃない――

何かを吸い、何かを変質させながら存在している。


小規模ながら、

霊圧の“ねじれ”は確かに戦闘にも影響を与え始めていた。


そして、

三人の“霊の色”が、ゆっくりと交わり始めていた。

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