冒頭の「写真＝変化を不変に閉じ込める残酷さ」という一行で、雨の匂いまで立ちのぼる静かな世界観に一気に引き込まれました。春先の湿度、レンズの曇り、神社の石畳──生活の手触りが丁寧で、カエルの合唱から「雨雨、ヤメヤメ♪」で一転静寂になる切り替えも気持ちいい。

雨の神様（梅ちゃん）の訛りと、主人公の「よっこいせ」な自虐が噛み合う掛け合いが軽妙で、でも「不老不死はつまらん」という返答にはズシンと重さがありました。「限りがある人生だから全力で楽しめ」という言葉が、写真という“瞬間を救い上げる行為”と綺麗に響き合っていますね。

「時々来ていい？」からの友達宣言と、写真を見せびらかす約束までの流れが温かく、新しい日常が始まる予感が心地よかったです。最後の土砂降り＆「また婆臭いこと言っちゃった」でふっと笑わせて締める余韻も好き。次はどんな雨模様と一枚が切り取られるのか、楽しみにしています。