第9話 日常

噂されるようになってから1週間が経った。もう噂に対するクラスメイトの関心も薄れてきたのかインスタグラムやtwitterの話で賑やかだった。

授業のチャイムがなって、休憩時間になると各々が自分時間に没入する。校庭のイケメンを見に行こうとか、廊下でカップルが抱き合っているとか。ここは無法地帯か何かなのかしら。そもそも人前で抱き合うことを恥ずかしいと思わない脳がぶっ飛んでいると思う。私の日課は、朝早く学校にきて、近くの野良猫に餌をあげること。野良猫と一緒に校庭を歩く。

「今日もミャーちゃんは可愛いね」

「猫の貴方みたいに可愛くなれたら良いのに」

猫みたいに歩くだけで可愛がられたい。傲慢ごうまんだけど。校庭を歩き疲れて、ベンチに座る。15分くらい校庭を歩いて、7時ぐらいになっていた。

「私ね。りたっていう子と仲良しなんだけどね」

ミャーちゃんに向かって喋りだした私は、空を見上げていた。ミャーちゃんも察したように、横にちょこんと座り込んでポカーンと、こちらを凝視していた。噂の謝罪を兼ねて、りたくんとどこかへ誘って行こうかなと思ってる。ただ、それが好きとか脈アリとか勘違いされるのは厳しい。それを第三者に見られたら余計に噂される。自然に。期待させてしまって距離感を詰められるのが苦手。りたくんと今度帰りながら話そう。どこか満足そうにスキップをしながら帰った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る