第4話 新学期

4月。クラスが決定して、新学期が始まった。

「お前!また一緒じゃん。宜しくな!」

「また一緒だね。私、嬉しい」などの、黄色の声が聞こえる。一方の僕は淡い期待すらなく、

「まぁ、こんな感じか。友達ができると良いな」クラスの皆と仲良くして、平凡に迷惑だけ掛けないようにして3年間過ごしたい。

「さぁ、みんな席について!今日は教科書の購入から自己紹介。イベントがたんまりだからね」と先生が張り切り気味で黒板にスケジュールを記載する。あの女の子はいないか。席前方にウルフヘアっぽい子がいたが、気のせいだろうな。授業がない日なので、クラスの人と親睦を深める時間がつくられた。

「こんにちは。屋烏之オクウノりたです。宜しくお願いします」

「私は愛智りこです。宜しくお願いしま..」

お互いが驚いたように顔を見合わせて、

「えっ..なんで貴方が。宜しく.....」と気まずい再開になってしまった。教科書購入と自己紹介が終わって、帰ろうと思った時に彼女に呼び止められ「ちょっと話したい事あるから放課後に体育館裏来れる?」と呼び出しを食らった。完全にしばかれる。ドジな彼女を見たため、その記憶を消させようとあらゆる手で脅してくるんだと思う。どう考えても、行くべきでない。すぐに忘れるからと謝ったほうが良いか。葛藤の天秤が心の中で揺れる。

「急に呼び出してごめん。話なんだけど」

「本のことだよね?友達に嫌われない..」

「いや、ちょっ!それじゃないけど、それも忘れて!」彼女は顔を赤らめた後、その経緯について淡々と話し始めた。

「私は、嫌われたくないの。誰かに好かれてないと自分を好きになれない。自分の為になる事しかしないの。他人に期待しても何も変わらないから」嫌われたくない精神は分かる。でも、何も期待しないのも違う気がする。人は潜在意識の中で誰かに何かを期待している。

「僕はそうは思わない。僕も、嫌われたくないよ?でも、嫌われる人には嫌われる。そんなの分からないよ。だから、好いてくれる人を愛したい。」そう思う。

「クラスでは出来るだけ私に関わらないで」

僕は彼女の弱みを知っている。だから、関わって欲しくない。めんどくさいと思っているらしい。

こうして、私達の新学期が幕を開いた。

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