第9話

お葬式とか色々あって次の週は全部お休みした。


これからはばあばとじいじがいるお家で一緒に住むってばあばが言ってくれた。



まだ悲しいけど頑張らないと。

それに明日は久しぶりの幼稚園。翔くんが待ってる。




「おはよう。優。」

「あ…翔くん。おはよう。」


僕より今日は早かった翔くん。

僕はいつもと来る時間少ししか変わらないけど、翔くんはいつもよりも早い。すごく早い。いつもギリギリなのに…。


「今日は早いね、翔くん。」

「優は遅かった。」

「…うん。まあね。」

「………」

「………」


「あ、優心くん!おはよう!」

「おはようございます…。先生。」

「うん!よかった!今日は来たね!」

「………」


あぁ、ママもこんな風に笑ってたっけ…。


ぽたぽた。また、涙が…。




「優。外いこーよ。」


翔くんはそう言って僕の腕を引っ張って外に向かった。



…まだ自由な時間はあるけど。

外で遊ぶのは初めて。僕も翔くんもいつも中で平仮名書いてるから。



靴を履き替えて、外に出る。

そして遊具を通り越して行く。


…あれ、なにであそぶの…?


「しょ、翔くん。どこ行くの…?」

「んー。ここら辺でいいや。」

「えっ。」


そして来たのは幼稚園の建物から一番離れた所のベンチ。

ここでなにしてあそぶんだろ…。


「ここでなにするの?」

「俺はなんもしない。」

「え…?」

「…なんか、泣いてたから。」

「…え。」

「…ここならそんなに聞かれないんじゃないの。」


僕の、ために。


「ありがと。…翔くん…。」



僕は時間ある限りたくさん泣いた。ずーっと泣いてた。

でも翔くんはずっと隣にいてくれた。


まるで両親みたいに優しくて暖かかった。


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