裏社会最強が3周目の人生で異世界へ…

ゆっくり朔

一章 星 

第0話「2周目の終わり、そして3度目の始まり。」

ここは、無人島。表向きは無人島、裏向きは裏社会の闘技場〝カロス〟そこで俺、天童幸也てんどうゆきやは無敗の剣豪と呼ばれていた。だが、俺は、ただ一つ不満がある。そう、暇なのだ。

「あーーー暇だーーー。」

そう部屋で叫んでいるとマネージャーが苛立ちを露わに出しながら言う。

「うるさいです。」

怒りの籠もった顔で睨まれる。

「はいはい、うるさくてすみませんね。」

と言葉を返す。そんな時、壁ついているスピーカーから名前を呼ばれる。その声を聞き笑みを零しながら刀を持ち、胸焼けするほど装飾された椅子から立ち上がる。そうしてドアノブを押して開こうとしたときだった。ゴンなんていう音が部屋の中に響き渡る。…あれ?押し戸じゃない…だと…そんなことをしていると、背後の椅子からはーーーなんていうクソデカため息が聞こえた。そうして、呆れた声で「引き戸ですよ。」とマネージャーに言われた。そうして扉を開け闘技場へ歩を向けるのだった。


◯◯◯


『〝それでは、無敗の剣豪 天童幸也vs鬼童 鬼塚桐生 …試合開始!!〟』

その掛け声と同時に刀を抜き、相手との距離を極端に縮める。…この勝負、もらった!!勝ちを確信し、刃先を下から上へ振り上げたときだった。嫌な予感を感じその行動をやめ、バックステップで避ける。そうして相手を見るとその嫌な予感は当たっており、元いた場所の地面は割れ砂埃が舞っていた。

「…あ、危ねー」

俺は、呟きながら刀をまた構える。砂埃の中から何かが突っ込んできた。速い、速すぎる。ここから巻き返せる技は何だ。いや、一つだけ存在する。その業は…

「ここで、死ね。無敗の剣豪!!」

「霊刀流抜剣術 怨•朧月夜」

一歩踏み込み、柄を掴み高速で抜刀しながら一撃を叩き込み、その後に背後に回り刀を振り上げる。

「星屑抜刀術 アルデバラン」

刀の刃区から切先にかけて程よい力で刀を握る。そして振り下ろす。すると刃は、相手の左腕を切り裂く。俺の感覚は刃がゆっくりと相手の左腕に入り切り裂かれていく、血の鉄臭さが鼻腔を刺激する。その血は、刀の峰、物打ちに掛けて広がっていく。この手の中には久々の肉を切り裂く感覚が広がる。この感覚が伝わる時間は刹那にも満たないだろう。だが俺は、この素晴らしい感覚が好きだ。この肉を切り裂く感覚が好きだ。だから、この人生の大半はこの裏社会に身を置いていたのだ。いつからだろうか、この感覚が好きになったのは、一度目の人生で刀匠だった俺がなぜここまで異常者になったのか。いつまでもこの手に残る感覚は、刀を作る感覚。刀を研ぐ感覚。そして、戦いで得たいや、得てしまった、人を真二つに切り殺す、人の肉を切り裂く感覚。こんな事を考えているのは0.3秒にも満たないだろう。これが、これがゾーンこの感覚も好きだ。いつまでも、感じていたい。だが、この感覚も終わってしまった。そうして体感時間はもとに戻り、周りの景色の色がもとに戻る。今、俺の顔は、不気味な笑みをしているのだろうか?


◯◯◯


俺は、勝ったと確信していた。だが、あの男は、一瞬にして俺の視界から消えてしまった。その刹那、腹部から胸に掛けての激痛、そして左腕が軽くなったのと激痛、確認してみると。そこには空中を舞う俺の左腕だった物と左腕が元々あった場所からの血飛沫が吹き出していた。

「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

痛みで叫んでいた、耐えられない。何なんだこの痛みは。

その痛みは今まで経験したことがないほどの痛みを感じていた。

「…五月蝿いな… 霊刀抜剣術 テケテケ 一閃」

斬撃が飛んでくる、でも激痛で逃げられない。そう思っていると斬撃が身体を通り抜け 切れてない!! そう思っていた。だが、急に俺は後ろから倒れた。脚の感覚がなくなっていた。脚の付け根から止めどなく血がまた溢れ出す。そうして、俺は意識を手放したのだった。


◯◯◯


『…しょ、勝者、無敗の剣豪 天童幸也!』

その声を聞き、周りからの歓声も聞こえてきた。そうして刀に付いた血を払い落とし、鞘にしまう。するとバンと言う音が響き渡る。急に痛みが走り、口から血を吐き出す。足がふらつき地面に倒れ、視界が暗転したのだった。

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