エッセイ本ができるまで
真堂 美木 (しんどう みき)
第1話 事の始まりは
2024年クリスマス近くに届いた一通の封書。
差出人を見ると、自費出版で知られている会社から。
私はその会社のエッセイコンテストに応募、落選。秋ごろだったかに届いた落選通知に仕方がないよねと、少々苦い思いの自分に言い聞かせた。
何故、そのエッセイコンテストに応募したかというと……
2024年の年明け、私はある地方文学賞への短編小説応募を目標に掲げた。無謀な挑戦だけど、応募するだけなら可能だと思った。
そして、応募作品を書くために、いつもはしないプロットらしきものを作ってから書き始めた。頭の中では大まかなストーリーのイメージは出来ていた。
でも、書きはじめると直ぐに躓いて話が進まないまま月日だけが過ぎた。
締め切りが近づいたころ、かなり迷っていた。
何とか言葉を紡ぐべきか。そうすれば関門を抜けたように言葉がするすると、まるで楽譜の音符のように並ぶかもしれない……なんてね。夢物語の中への逃避を試みた。結果はどうであれとりあえず応募できるかな……なんて。
だが、この空っぽのような感覚は何なのだろう。全然、言葉が出てこない。迷っているうちに更に時間だけが過ぎていった。
今回は諦めよう。
2024年5月、諦めた私は、他に何か応募できそうなものが無いかと探した。その時は何故か分からないけど、何かに応募しなくてはと急き立てられたように思っていた。
そして、見つけたのがエッセイコンテスト。このコンテストなら、ここカクヨムでの「アラ還ナースの独り言」(現在は公開していません)を加筆修正すれば、何とか締め切りに間に合うし、ネット上では載せることを躊躇っていた死についても触れることが出来るような気がした。
結局、締め切り当日の夜遅くにデーター送信、何とか応募完了。
本来なら応募前にすることかもしれないけど、応募したあとでそのコンテストや会社についてネットから情報を得た。
すると、コンテスト応募後に自費出版のお誘いがよくあるらしい。
だから、届いた封書を見て「ああ、やっぱりね」と呟いた。
その手紙に書かれていた全国流通という名の自費出版。当初は、全く気に留めていなかった。だって、かなり高額なはず。以前、ここカクヨムでどなたかが出版費用の目安を書かれていたのを読ませていただいたことがある。お誘いの文面には予想金額は書かれていなかったけど、きっと私にとっては高額だろうと思った。
今年還暦を迎える私。限りある老後資金から捻出するのは厳しい。
でも、その封書を捨てることが出来なかったのは、心の奥底で小さな希望が光を放っていたからかもしれない。
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