第5話朦朧とする時の中、迫る決意
ー数日後ー
「はぁ……はぁ……」
やばい……段々神力の維持が困難になってきた……
これは……ほんとにまずい……
この土地に神力を注ぎ込みすぎたか……
それとも……やっぱり、人間になるのか…神としての役割を終えて……死ぬのか……
どっちか、なんてわかるわけが無い。
実際、お母様がどうして死んじゃったのか……そんなの今になってもわかんない。
1000年生きてきたけれど手がかりすらない。し……ウチも見つけようとしたけれど今となっては知らない子の方が多い。
もう、陰陽師や色んな妖怪との戦い、はたまた神の力を使い果たして消えてしまった子の方が多い。
だからこそ昔のことを知っていて尚且つ強大な力を持っている神として残っているのはもうウチしかいないし……
どうしようかな……
いやいや…そもそもそれどころの話じゃないだろう……
今は自分の身体の心配をするべきだ。
こうして……今にでも死にそうな身体をしているのに何も出来ないだなんて……
終わりもいい所だ……
「もう…このまま…誰にも見つからずに…死ぬのかな……」
その方が、この土地にも迷惑をかけないし……ちゃんと力を使い果たして死んだ方が……
いいのかもしれない……
「そう思ったはいいけど……」
眠気、怠さ、神力がどこかに持ってかれる感覚といい……
ほんとにこれ……
並の神が耐えられるものなの……?
完全に…殺しに来てる気がするんだけど……
もう、耐えることすらできない気がする……
詰みだ。
これは……詰んでしまった。
何も出来ずに死んでいく。
それなら……
この土地のためって思いながら死ぬのだから本望だろう。
でも……死ぬとしたら……
葵ちゃんにもう一回だけ会えたら良かったのにな……
お母様……
ウチ、お母様の願い……叶えられなかったよ……
「そう思うなら生きてみろ、このバカ」
「へ……?」
この鋭い声……
どこかで聞いたことあるような……
えっと……
どこだったけな……
「――い!!こっちだ!!」
「えぇ?!今言われても!!って、すごい瘴気!!早くこれを払わないと!!」
誰かの声がする……
この優しい感じも……
どこかで聞いたことが……ある気がする……
それは……いつだった?
思い出せない……
「れいさん!!わたしがぜったい!!すくってみせるから!!」
必死に。
生きる希望を捨てたウチを助けるような声をかけてくれる……
この声……
それに……この、懐かしい感じは……
「あおい……ちゃん……」
「れいさん!!喋らないで!!私が…私が絶対救うから!!だから!!」
死なないで!!!!
そうか……
あの時も……
『れいさん…あなたは生きて…生きて、この土地をあなたが――――』
色んな子に言われた……
生きてって。
だからこうして生き続けた。
でも。
でもそれは。
ウチにとって呪いになった。
生きるということはこれ即ちある種の呪い。
呪いということは。
もうウチは神ではなくなり、神ではない別の何かに変貌したということにもなる。
禍々しい何かに。
自分では分からないけれど、でも。
これは多分、葵ちゃんやこの土地に居る人達を犠牲にどんどんどんどん膨れ上がってしまう。
それだけ膨大な神力や呪力が解き放たれている事が少しだけだけど、分かる。
だからこそ。
今のウチは危険だ……
だから、葵ちゃん逃げてよ。
災厄に成り下がったウチをどうか…どうか見捨てて……
お願いだから……!!
「嫌です!!絶対に嫌!!」
諦めが悪いのか……
何も分かってくれないのか……
でも、今のウチはほんとに……ほんとに危険なの……
だから……
葵ちゃんが殺されるんだったら、ウチを諦めてよ!!
葵ちゃんにウチを止める力なんて…あるわけないじゃん!!
だから……
だから!!
諦めてよ……お願いだから……
「どうして……そんなふうに言うんですか?」
それは……葵ちゃんが、死んだら嫌だから……
「それだけの理由ですか?」
そう言いながら歩み寄る彼女。
でも、ウチに今そんな事は届かない……
届いたりなんかするもんか。
瘴気を纏った何かが葵ちゃんの方に飛んでいく。
避けなよ。
そうすれば助かる。
こうやって攻撃してくるやつなんて最低だって、死んでしまえと思えばいい。
そうすれば。
ウチは楽になれる……
あと数センチ…
数ミリ……
すう……ってあれ……
「……っ」
なんで。
なんでよけなかったの?
どうして?
どうして、避けないで……ウチの方に……まだ歩みよってくるの?
おかしいな……
だって……散々心折れるようなこと言ってるのに……してるのに。
また瘴気を纏った何かを葵ちゃんの方に飛ばす。
一発じゃない。
今度は避けられないくらい。
沢山。
沢山。
沢山飛ばした、それでも……
どうして?
どうして避けてくれないの?
葵ちゃんには……死んだら嫌って……
そう、言ってるのに……
「葵!!」
「カンナちゃん……やめて、私が立ち向かわなくちゃ」
「だけど……くっ……」
カンナちゃんも悲しい顔してるのに……
止まってよ、葵ちゃん!!
「あの時……葵が来てやれなかったもんな……やり合おうぜ!!」
向かってくるか……
ウチには敵いっこないのに。
でもまあ………
どうして諦めてくれないのかな?
そろそろ腹が立ってきたよ。
どうして?
どうしてウチ何かのためにこんなにしてくれるの?
「そんなの決まってます……れいさんが大切だからです!!」
そう言って居なくなった子達を何度も見た。
だから、そんな言葉を言われても…ウチには……
「それじゃあ、私が諦めて……ここから立ち去ればいいんですか?」
「葵やめろ!!これ以上は!!」
「止めないで、カンナちゃん」
そうだよ、諦めて欲しいの。
こんな……
こんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんなこんな……
こんな悪い子を……
見捨ててよ……!!
大切だって……
少ししか交流してないけどウチの大切な存在を傷つけたウチの事なんか見捨ててよ!!
「……か」
何……?
何言ってるか……
「れいさんのバカ!!どうしてそういう風に決めつけちゃうの?!」
え?
「どうして……最低だって……こんななんて言うの?」
だって……それは……
「傷付けたから?私を殺そうとしたから?」
そう……だけど……
「バカ!!ほんとに……ほんとにばか!!」
ば、バカって……神にバカとか失礼な……
「だってそうだよ!!ホントのバカだよ!!自分の気持ちに気づけない神様なんて…そんなの違うよ!!正義でも、空くなんかでも無い…れいさんのただのエゴだよ!!」
……
そう……言われても
「悔しいって思った?ほんとに何してるんだろってそう感じた?」
……
「あんなに饒舌になってたのに黙り?ねぇ、れいさん。れいさんは、本当はどうしたいの?」
ウチ……
ウチは……何を……
ウチは……
「生きたいんじゃないんですか?」
『れいちゃんは、生きて!!』
『生きろ!!れい!!』
『れいはきっと、生き続けたらいいことが起こる……だから……生きて?生きて……未来を……』
ウチは……
ウチは!!
「生きたい!!」
「そうでしょう!!今なら行けるはず!!」
生きたい……と。
ウチが手を伸ばした時に陣が展開されたのが分かった。
青白く。
とても綺麗な……
何度も、何度も見てきた。
残酷な光だけれど。
でも。
どこか期待しているんだ。
これを受けたら、救済されると。
「砕けろ!!邪の気を!!そして我に…全てを授けたまえ!!!!」
一瞬にして光が包んだ。
私を包んでた。
瘴気が晴れて、ウチを繭状に包んでいたものだろうか。
それも砕け散り。
ウチは、本当に生まれ落ちたのだと思う。
「良かった……れいさ……って服!!服が!!」
「え?」
よく見てみるとウチは何も着ていない、つまり……本当に産まれたままの姿になっていたのだ
「あ、あはは……そ、その……見ないで!!///」
「あ、すみません!!///」
見られた……見られたよね……
絶対見られた……!!
恥ずかしい……
恥ずかしすぎるよ……///
「あ、れ、れいさん……///」
「な、なぁに?///」
「こんな時に……アレですけど……契約どうしますか」
そっか。
ウチはもう、あの浄化の光を浴びたからか分からないけれど神力を失っている感じがした。
でも、それが嬉しい感じがするんだ。
だって……
「もう、ウチの答えはとっくに決まってる」
「それなら……!!」
「ウチと、契約……してほしいな!」
そう言ったウチはバッと立ち上がり、葵ちゃんに手を伸ばした。
葵ちゃんもそれに同意したおかげか、ウチの装いは霊装となり完全な契約の義を受ける装いになれた
「それでは……って、私も覚悟決めるので…行きますよ」
「いつでもいいよ!!ウチも、覚悟は出来てる!!」
ウチの両手を掴んで正式に契約の義の準備が出来たみたいだ
あとは……
葵ちゃんがウチとどう適合するか……だ。
「集え、万物に蔓延る全ての主よ!!我に力を授けよ!!我の願いは、そなたらの願い、そなたらの力は我の一端!!善よ悪よ、我に……!!」
最後の詠唱を言おうとした時……
葵ちゃんに異常なまでの神力が流れ込んだ。
目に見えてわかるくらい……
だから手を離そうとしたけど、離さなかった。
恐らく、離してしまったら契約が出来なくなる。
それを恐れた。
だけど………
葵ちゃんはそんな風に思ってない。
なんとしてでも、ウチとの契約を望んでいる。
だから……こそ。
ウチも葵ちゃんの願いを優先したい……!!
「葵!!これ以上は!!」
「いいの……!!カンナちゃん……!!」
意を決したのか、葵ちゃんの中にある最大の霊力が一気にウチに流れ込んでくる。
ウチも覚悟を決めよう。
「汝…我と共にあれ!!!」
その刹那。
辺り一帯が光に包まれ……
ウチ達は……
どうなったのか。
まだ、分からない。
to be continued
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