この作品の最大の魅力は、読み手の感覚を狂わせるコントラスト。
肉塊が飛び散り、血の海に沈む無慈悲なハードボイルドの世界と、うさ耳やキャンディで彩られる無垢で愛らしい少女たちの日常。
この二つの色彩が「NSTF」という巨大な影の設定によって、歪んだ形で一つに縫い合わされています。
特筆すべきは、その鮮烈な筆致です。
物理的な暴力の描写に「ニキシー管の暖かな光」や「オレオを牛乳に浸す音」といった極めて繊細な質感を重ね合わせ臭いさえ感じさせます。
また、SFサスペンスとしての『秘密』への刻むようなアクセス。
兵器としての型番、記憶の改竄、「受肉」というキーワードなどなど、散りばめられた断片的なギミックが、興味をそそります。
それだけでなく、行間からは失われた何かへの渇望のようなものが、漏れ出していて。
これからも深まりそうな魂の詩にも注目したい作品です。