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 鼠色の柱と黒いケーブルに囲まれた校舎にて。

 ある教室。教育指導要に基づいた、ごくありふれた理科の授業の最中。

「先生、どうして電線に留まる鳥は感電しないのですか?」

 好奇心旺盛な生徒が、理科教師に問う。

「それはね、まず、電線は電気を通さないカバーに覆われているから。そして鳥の両足に電圧差がないから鳥の体に電流は流れない。あと、鳥の体は電線よりも電気抵抗が大きいから。といったところだね」

 理科教師の説明は、もっともらしかった。

「でもこの前、そこの電信柱に逃亡中の強盗が登って、感電死してました」

「そ、そりゃあ人間の場合は、体の作りも違うし、鳥みたいにおとなしく留まっていたわけじゃないだろう? 感電することもあるさ」

「へぇ、そうなんですね」

 質問した生徒は、どこか釈然としない様子だった。

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