エンドロールなんていらないから!

@hiragidie

心地よく始めさせてよ!

第1話 転校生と進級

 さて、今日から三年生か。そんなことを考えながら俺は下駄箱に靴を雑に入れ、教室へ向かった。進級しただけだから、俺のなにかが特別変わるわけでもない。今日だって俺は柊崎くきざき琉榎るかのままだ。

 教室のドアを開けるとまだ誰もいなかった。

「ちょっと早すぎたか」

大きめの独り言をつぶやいて、すぐに俺は座席表を探した。俺の名簿番号は9番だから、前の席は木村きむら柘木梛つきなで、後ろの席は桂華けいか葉月はづきなんだろうと思っていた。しかし座席表を見てみると俺は10番だった。不思議に思い全体を見てみると4番の席に知らない名前が書かれていた。

「三年生になって転校生か」

その生徒は大変だったんだろうと感じた。いや、むしろ大変なのはこれからか。俺としても、学級会長としても手伝ってあげたいと思った。

 「おっはようございま〜す!って、なぁんだ、琉榎だけか。」

「はぁ?俺だけで悪かったな!」

「そんなことより、アンタ席間違えないでよ。そこ私の席だから。」

イラッとしたので、俺は無言で座席表を指差してやった。

「あれ?ズレてる!私の隣に新しい子来るんだね、楽しみ〜!」

俺はやっぱりコイツ、柘木梛は明るい奴だな、と思った。

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