宇宙時代のストレス発散法

宇嶌玲

火星人R氏

Rはとても気分が悪かった。

頭痛と吐き気で一日中寝て過ごし、起きた時には欲しかったCDが売り切れていた。

明日は朝早いのに、仕事が残っていて眠ることすらできない。


いまだに頭痛はおさまらず、硬い壁に頭を打ちつけて割ってしまおうかという衝動に駆られていた。

Rは手にしていた書類をかごに放り投げ、燃やしてしまった。

家じゅうのガラスというガラスをすべて割った。


ジャケットを羽織り、靴を履いて、シャトルに乗った。


宇宙には何もない。暗闇の中無心でシャトルを飛ばし、一つの星の前で止まった。

来る途中に集めた星のかけらを装填し、星に向かって飛ばした。

何度もかけらを飛ばしていると、星には小さなクレーターができた。


Rはクレーターを見つめて満足し、来た道を引き返した。


心は春の風のように穏やかで、シャトルから見える自分が住む赤い星はとても美しく見えた。


家に着いたRはゆっくりと湯舟につかり、音楽を聴きながら一杯の紅茶を飲んだ。

しばらく外の景色を眺め、窓から見える白い星のクレーターを見つめ微笑み

ベッドにもぐった。

朝のコーヒーとサンドイッチの夢を見た。


(end)

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宇宙時代のストレス発散法 宇嶌玲 @yu-ri9734

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