第9話 話し合いに割り込む奴、いるよね
前話をちょっと改稿しました。
ちょっとなんで別に見なくても良いですけど、投稿から1時間以内に見てくださった方は、前話を軽く流し見したのちに、この話を読んでいただけると……まぁ作者が喜びます。
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「——おー、やっぱキラッキラだな。俺には合わん。眩しすぎる」
「みたいですね。顔が凄いことになってますよ。控えめに言って気持ち悪いです」
「ストーカー紛いのことをしてるお前も気持ち悪いけどな」
「「…………」」
夜の王都の大通りを歩きながら、俺達はお互いに視線をかち合わせる。
俺達の間に友好的な物は1ミリもなく、険悪な雰囲気が蔓延していた。この街並みと真反対だね。いや、夜に喧嘩売ってるから同じかも。
王都とはやっぱり凄い物で、夜でも店の明かりが、通りの街灯が、まだまだ寝るなよと言わんばかりに輝き、キラキラ眩しく俺の目を焼いていく。
この景色を見てると、ちょっと日本を思い出す。友達と飲むの楽しかったなー。今は飲めんけど。ああ、勘違いするなよ、酒が飲めないんじゃない。飲む友達がいないだけだからね。……そっちの方が悲しいか。
「……てか俺、夜に寮出たの久し振りだわ」
「久し振り? 寮生は夜間の外出は禁止されているはずですが?」
おっと、そう言えばそんな規則あったね。
まぁでも寮から外に出たのはホントに久し振り。
小屋に直行の日は色々と買う物があるから外に出るけど。あれ、帰宅しない時点でアウト? んなわけないよね? ……もっと気を付けよう。
「ま、まぁそれはどうでもいいじゃん?」
「良くはないのですが……」
「それ言ったら女子のお前が男子の寮部屋に入るのも規則違反じゃねーの?」
「……それは今どうでも良いじゃないですか?」
「全然良くねーよ?」
ほんと、良くないからね?
お前が強くなかったら、今頃レイの食い物になってるかもしれねーのよ?
アイツ、俺にはあんな感じだけど、女を取っ替え引っ替えしてるとんでもないクズだからね?
この前、アイツの元カノを名乗る奴に居場所を問い詰められた事件があった。
ただその元カノ、美少女が霞むほど目がイカれてたの。控えめに言ってセルフィリアが部屋にいた時より怖かった。怖すぎて号泣一歩手前までいった。
「……うん、これ以上はやめよう。思い出しただけで泣きそうになる」
「ほ、本当に目が潤んでますね……一体過去に何があったのですか?」
「いやね、君より怖い女の子がこの世にいるのよ、って話」
はぁ、とイマイチ理解出来ていない表情で生返事をするセルフィリア。
でも、分からなくても良い。分からない方が世界は平和だ。
「やっぱまだ夜は涼しいなぁ……昼はもう暑いのに」
前髪を弄ぶ緩やかな夜風が、混乱して熱くなる頭を冷やしてくれる。俺はパソコンか何かかな? パソコンにしては雑魚スペックですね。
「それで……お前はなんで俺に付き纏うの? もうお前が気にしてたモンは見せたでしょうに」
大通りを抜け、明かりも、人も、俺達を邪魔する物が周りから限りなく少なくなった頃合いを見計らって、俺は一石を投じる。
誤魔化すことなど出来ないように、逃げ道を塞ぐように、追い詰めるように。
そうしてスッと目を細めて投げ掛けた俺の問いに、セルフィリア・クラウス・ソラスリストは。
「……私には、分からないのです」
今までのハキハキとした話し方は何処にいったのか、と聞き返したくなるほどにか細く小さな声で、ポツリと零した。
たった1つしかない街灯に照らされた横顔は、先程と同じ表情のはずなのに……酷く苦しそうで、脆そうに見えた。
「分からない?」
「……そうです。私には、分かりません。あの日、貴方は絶対に敵わないと分かっていながら……最後まで私に一矢報いようとした、その姿が。それに貴方は、不意を付ける、たったそれだけのために、先生に相談しながら魔法を編み出していました」
「別に編み出してはないけどね。結局、《
「…………」
い、いや、その氷に塩を混ぜたみたいなヒエヒエの顔も、俺を射殺さんばかりの視線もやめて。いやほんとやめてやめて。凍る。魂まで凍る。
それに別にお前の話を茶化そうってわけじゃ——ごめんなさいです。
「え、えっほんっ! ……そ、それで何が言いたいんだ? お前が言う諦めない云々かんぬんって、別に良くあることだろ? 試験だってさ、赤点になるって分かってても頑張るじゃん? それと一緒だろ?」
俺だって生物学が詰んでると分かっててもそれなりに勉強してるし。
あれ、マジで意味分かんない。文系に優しいって聞いてたのに、蓋を開けてみれば全然優しくなかったんだもん。計算くっそあるじゃん。詐欺だろ、訴えるぞ。
なんて生物学への怒りを胸中でぶつけている俺に、依然として釈然としないといった感じで顔を歪めるセルフィリアが首を横に振る。
「……やっぱり、私には分かりません……腑に落ちません。最初から無理だと分かっていながら頑張る理由が理解できません。過程が大切……なんてことは、ただの負け犬の遠吠え、ただの自己満足、自分の失敗を慰めるための見苦しい言い訳です」
まるで自分の中の何かを押さえつけるように、キッと俺を睨み付けて吐き捨てた。
「……結果が伴わなければ、結局何をしようと、どういう過程を踏もうと——全て無意味なんです……ッ!!」
…………なるほど、お前はそう言う考え方か。
そうなら……そうだからこそ、俺の行動が不可解極まりないんだろうな。
でも——。
「それは、随分と偏った考え方だな。極論が過ぎるんじゃねーの?」
俺は、それが全てとは思わない。
確かに、この世で求められるのは基本的に結果だ。
過程を褒められるのなんて精々小学生まで、というのは良く聞く話。
そう、間違いじゃない。寧ろ世間体で言えば正解に限りなく近い。
だが——
——それは、俺の今までの全てを否定する考え方だ。
きっと過程にだって、価値はある。
結果だけを追及した先に残っているのは——自分を縛り付ける自己像と、目の前に立ちはだかる自分では絶対に越えられなくなった高い高い壁だけ、だと思う。
きっと彼女は、その結果だけを追求した先の人間なのだろう。
そして、その高い壁を越えようとトライする内に——彼女は自分というモノが分からなくなったのだ。
自分で自分という存在が分からない、その焦燥が。
学園に来て顕著になる考え方の違い、その疑心が。
——今回のような、ストーカー紛いの行動に行き着いた……のだと思う。
いや、何があろうと犯罪行為はNGなんですけどね?
でも、自分で分からないなら、人に聞くのは当然のことじゃん?
コイツはきっと、その聞き方を知らない……または壊滅的に下手なんじゃないかなーって。
まぁ犯罪行為は絶対、何があってもNGだけどねっ!
「……極論、ですか……」
「そうそう。もっと気楽に、適当に考えれば良いんだよ」
まぁ彼女にはそれが出来ないから苦しんでるんだろうけど。
…………どうしよっかなぁ……。
なんて、グッと唇を噛むセルフィリアの姿に俺が頭を悩ませていたその時だった。
「——セルフィリア様、こんな夜中に、そんな凡夫と何をしているのですか?」
俺の真後ろ、そして彼女の目の前に——黒装束姿の謎の人物が立っていた。
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