『やかんけいび』

やましん(テンパー)

『やかんけいび』



 『そろそろ、出る時期だな。』


 やましんは、警戒はしていたのである。



 ささささささささささ!


 

 『でたあ!』


 黒い影がみっつ、台所を走った。


 『やましんごき協定により、成敗いたす。』


 『まった、まった。はた、はた!』


 『はた? 見えないなあ。』


 さいきんのやましんは、みみはとおく、めはうすい。


 よくみれば、たしかに先頭のごきが、はたをもっていた。


 白地に『やかんけいび』と、書いてある。


 『む。やかんけいび中は、せいばい禁止だったかな。』


 『さよう。さよう。』


 『しかし、そのずだ袋はなにか?』


 『やかんけいび用品ごき。近年協定やぶりがあり、貿易赤字が増大しています。これは、様々な、検査用グッズ。』


 『あやしいな。中を開示しなさい。』


 『ごき軍団安全保障特例により、開示できません。』


 『む。やましんの知る権利により、開示を要求します。』


 『だめでごき。』


 『しかたがない。力ずくでゆきます。置いてゆきなさい。』


 『わー。逃げる。』


   

 さささささささささささささささささか〰️〰️✨


 『相変わらず早いな。しかし、ずだ袋は置いていったか。ふんふん。なにを盗んだ?』


 やましんは、中身を検閲したのである。


 『あらま。なんだこれは?』


 やましんが無くしたと思っていた、小さな、電話のフィギュアであった。


 『うーん、たしかに、やかんけいびの範囲かな? 強盗かな?』


 やましんは、悩んだのであった。


 

     ☎️☎️☎️☎️☎️☎️☎️☎️☎️☎️☎️



 ごき軍曹


 『だから、あんなもの、持ってくるなと言ったろ。』



 ごき二等兵


 『ちょっと、欲しかったから。はい。ごき。』



 ま、各人各様、好き好きがあるのである。


 しかし、広く迷惑を掛けてはならないのだ。















 

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『やかんけいび』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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