第28話 お前の物は俺達の物
「あはははっ! 死ね!死ね!死ねぇぇぇぇ、あははははっ、あははははっはぁぁぁぁぁぁーー」
ザシュッ、ザシュッ……盗賊を切り裂く音が聞こえてくる。
「助けてくれぇーー! ちゃんと償うか、自首するからーー」
「いやぁぁぁぁーーー殺さないでぇーーいやぁぁぁーー助けて」
「ルミナスさん、今のナルミーさんには近づかない方が良いね」
「私も、そう思うわね」
ほぼ、バサーカー状態で盗賊を切り刻むナルミーさんを見て俺達は少し距離を取る事にした。
あの後。冒険者ギルドに行き、依頼書を見て此処に来た。
お金は冥界神様から貰うので『引き受けないで』情報だけ見て来ただけだ。
小さな村を占領して盗賊たちが砦を作っている情報があった。
村人も皆盗賊の仲間になり、すべての人間が盗賊となっている状態らしい。
大体、盗賊が村を占拠した場合、生き残る為に村人も盗賊になる場合が多い。
いつの間にか被害者が加害者になっている。
そんな状態だ。
『可哀そう』だと思うのは禁物で、すぐに毒され盗賊と同じ考えになり平気で強奪をし人を殺すような人間になる。
討伐の対象になる頃にはすっかり盗賊の仲間だ。
子供も、その環境だから、悪い人間に変わっていき『子供だから』なんて考えてやる必要は無い。
子供の癖に平気で人を殺し、暴力を振るい、女性を犯すのに参加するような存在になる。
尤も参加しなければ仲間とみなされず孤立して最後には殺されかねない。
そうなるのも仕方ないのかも知れない。
だが『盗賊』の仲間になると言う事はそう言う事だ。
だかこそ、盗賊には人権が無い。
どれほど酷く殺そうが誰もが咎めない。
躊躇したら、自分達が殺されかねない『魔物以下』の存在だからだ。
ナルミーさんは生きている時に盗賊に物凄く酷い事をされていた。
それは油断から起きた。
だから、油断せず恨みをぶつけているんだろう。
「しかし、これじゃ手伝う訳にもいかないね」
「そうね、下手に近づいたら怪我しちゃうから、離れてみている事しかできないわね」
俺が渡した剣を自由自在に振るい。
片端から盗賊は死んでいく。
流石は凄腕の冒険者だ。
ある者は首を跳ねられ、ある物は腹を裂かれて転がっている。
「あははははっ、盗賊は人間じゃないんだ……盗賊という生き方を選んだから、殺されるんだよ? 人を辞めたんだから命乞いなんて無駄だよ! あはははは、死ね、死ね死ねぇーーっ」
「いやだーーまだ死にたくない」
「助けて、お願い……なんでもするから殺さないでぇーー」
命乞いをしているが……まぁ無駄だな。
俺はただ逃げてきた盗賊を数人討ち取っただけで殆ど全員をナルミーさん一人で討伐してしまった。
「しかし、凄いね……その腕輪、家を出る時からずうっと夜のままなんだよね?」
「そうね、お月さまが家を出た時からずうっと出ていて今も同じなのよね」
「そうなんだ、家を出たのは夕方で夕陽がまだ見えていたんだけどね」
「そうよね、この腕輪をつける前は窓から夕陽が見えていたから、分かるわ」
今はもうかなり遅い時間だ。
だが、冥界暮らしのせいか、ナルミーさんもルミナスさんも夜目が効くみたいだ。
だから、夜の不利はない。
気がつくと村の盗賊は全員死んでいた。
そろそろ終わりだから片端から収納袋に放り込んでいく。
数にして32人。
「ふぅ~終わっちゃった! どう? あたいは強いだろう!」
「本当に凄いね」
「流石はナルミー、相変わらず凄い腕ね」
「まぁ、あたいに掛かれば盗賊なんてこんな物よ!」
「それじゃ、今日は此処に泊まっていこうか?」
「そうね、盗賊の持ち物はたしか討伐した者の物になるのよね?」
「そうだよ! ハデル、ルミナス、これから物色していこう! この村にある物は全部あたい達の物なんだからさぁ、さぁ、さぁ行こう」
そうだった……盗賊を討伐すれば、その持ち物は討伐した人間の物になる。
この世界の常識だ。
「そうだね、好きな物を好きなだけ貰って、一番大きな家でゆっくりしようぜなぁ?」
「そうだね」
「うん、それが良いわ」
此処で欲しい物は殆ど揃いそうだから……買い物に行く必要は無くなるかも知れないな。
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