第9話 昼夜逆転しないと......
少しだけ仮眠をして宿屋を出ようとしたのだが……
「お客様、昨夜は随分とお楽しみでしたね?」
「まぁね」
「ですが、当宿は娼婦の連れ込みは禁止しております。 1人で泊まるから、そう言っていた筈ですが!」
ヤバい、怒っている。
そうだった。
「すみません……」
謝るしかないな。
最初は1人で入り、出るのも1人……この状況なら皆、そう考えるだろう。
「ふぅ~今回は特別に見逃しますが、次回もし利用する事がありましたら気をつけて下さいね!」
「はい」
今回はどうやら見逃してくれるようだ。
ふぁぁぁあっ、眠いな。
この丸二日余り寝てないから当たり前と言えば当たり前か。
俺は宿を後にして街へと向かった。
◆◆◆
昨日食事をとった食堂、オークキング亭に入った。
「悪い、今日も精のつく物をくれ……ふわぁ~あ」
ついあくびが出てしまう。
「随分とフラフラだなぁ、良し! それならレアのハンバーグはどうだ? わりとくどく無いし朝から食うのに丁度良いぜ!」
「ハンバーグをレアで食べて大丈夫なのか?」
「お客さん、異世界人に毒されているな……良く異世界人はハンバーグをレアで食うと中毒になるとか言うが、うちのは新鮮な肉を使っているから問題ねーよ……安心しな!」
まぁ、大丈夫なら良いや。
「それ下さい」
朝からレアのハンバーグを食した。
流石に朝だからビンビンの話はしないのな……
出て来たハンバーグを平らげ、あくびをしながら昨日の洋服屋さんに向かった。
「昨日のお客さん、やっぱり来たね? サイズを分かったのかい?」
「はい、ごにょごにょです」
「凄くグラマスなんだね……そりゃ、セクシーな下着も欲しくなる筈だ……そのサイズの下着はこの辺だよ! 自分で選びたいだろう?」
「はい」
なかなか現金な物で下着を目の前にすると目が覚めた。
セクシーな黒もいいけど、生活感のあるベージュも良いよな、あっシミーズみたいな物まであるんだ……
赤も捨てがたいし……
悩み悩んで決めたのは......
「おばちゃん、この黒い下着セットとベージュの下着セットに、このシミーズとあと赤い下着のセットも下さい」
「あいよ……あんた、相当な好き者だね? まぁ夫婦の営みが盛んなのは良い事だよ。まぁ頑張んな!」
「はい」
まぁ恥ずかしいけど、その通りだから、仕方ないな。
これからどうしようか……
昼夜逆転生活をしないと体が辛いし持たない気がする。
冒険者ギルドに相談するかな…….
◆◆◆
『漆黒の風』を抜けてから久々の冒険者ギルドだ。
なんとなく懐かしいな。
「冒険者ギルドへようこそ! 本日はどう言ったご用件でしょうか?」
「色々と相談に乗って貰いたくて……少し話を聞いて貰えるかなぁ」
「冒険者ギルドはそんな私的な事の相談には乗りませんよ……馬鹿バカしい」
「そうかなぁ、以前は良く相談に乗ってもらったんだけど、まぁいいや、それじゃ、夜出来る様な仕事ないかな?」
依頼の斡旋を受ける為に俺は冒険者証を受付嬢に見せた。
「うっ、嘘……Aランク冒険者、ハデル……様、元勇者パーティの……スミマセンでしたぁぁぁぁぁーー! すぐにラウンジとお茶の用意させます! ギルドマスターにも話してすぐ来させますね! そこの新人、この方をラウンジに通して、急いで粗相がないようにね」
まぁこうなるよな。
あの四人より弱いけど、一緒にレベリングされた状態だから、そこそこ実力もある。
元勇者パーティでそれにAランク冒険者だ。
RPGゲームで言うなら『勇者パーティの初期メンバー』はじまりの街なら、名前が知れた冒険者。
そんな所だ。
すぐに新人の職員が俺の前に来てラウンジに案内された。
◆◆◆
「俺がこのギルドのギルドマスタークルハだ! それでハデルさん、一体どう言った相談ですか? 新しいパーティの斡旋ですか? それともパーティメンバーの募集ですか? いずれにしてもハデルさんならすぐに決まるでしょう」
「いや、パーティは組む気は今の所は無いよ! 生活についての相談なんだ」
「おや、生活ですか? 良いでしょう聞きますよ」
「実は……」
俺は今後について相談してみた。
夜をメインに仕事をしたい事。
一日中自由にしていられる部屋を探している事を伝えた。
この世界の宿屋の多くは基本的に昼以降にチェックインし、朝チェックアウトする宿屋が多い。連泊すれば昼間も休んでいられるが、ベッドメイクや掃除の為、恐らく追い出される時間がある。
「仕事は問題無いだろう? 常時討伐も討伐もいつ狩に行っても自由だ。 依頼人に会う依頼でも夕方に会えば良い。問題は無いな。問題は住処だな……宿屋に理由を話して借りるか、アパートメントを借りるか……あとは買うかだな! だが、なんで急に夜の仕事をしたいんだ? 今迄ハデルさんが夜働いていたなんて話聞いたこと無いぞ」
言うべきかな……
「ジョブチェンジで『冥界の騎士』になったんだ。そのせいか夜の方が体が楽なんだよ」
「そうなのか? 仕事なら掲示板に幾らでもあるから心配する事はない。 住処については今から担当を呼ぶからよぉーそいつと話してくれ!」
「了解した」
暫く待つと、さっきの受付嬢が来た。
「ハデル様、先程は失礼しました。サリと申します! 昼間、休む事が出来る住まいをお探しという事ですが、どんな物をお探しですか?」
そうだな。
「予算は無いから賃貸か宿が希望だ。多少煩くしても問題が無い場所が良い」
俺の持ち金はあいつ等から手切れ金代わりに貰った金金貨3枚、金貨2枚使ったから残り1枚
4人に気づかれないように旅の合間に内緒で一人でこっそり受けた依頼で貯めた金が金貨4枚。
合計残り金貨5枚(約50万円)
余り余裕があるとは言えない。
「そうですねぇ~宿屋は交渉しだいですが、昼夜逆転生活だと騒がしくて眠れないんじゃないでしょうかね? アパートメントも同じような物だと思いますよ? そう考えたら1軒屋を購入するか借りるのが無難そうですね……予算はお幾ら位ですか?」
「可能なら金貨2枚から3枚に抑えたい」
「余り予算がないんですね! 私の方で少しあたって見ますが……少し依頼を受けてお金を増やすのは如何でしょうか? とりあえず3日間位お時間を下さい」
「頼みます」
「任せて下さい」
やはりすぐには解決しないのか。
今夜もまた宿屋暮らしだな。
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