静かな世界に小さな愛を
川本 純
静かな世界に小さな愛を
「世界に満ちる喧噪。人々が発する感情の轟き。片隅に咲いた小さな花。心に灯る静かな灯火。全てが尊く、価値あるものだ」
世界には喧騒が満ちている。それは衝撃的な出来事かもしれないし、心を震わすような存在の台頭かもしれない。共通するのは、どれも私たちの心を大きく揺さぶるということだ。それはプラスの感情であったり、マイナスの感情であったりする。
人々は日々、感情を胸に抱き生きている。思考は絶え間なく稼働し、心にさざ波を与え続ける。生じたさざ波は、時にぶつかり合い、時に融合して感情をより深く大きな波へと変えていく。波は心を癒すかもしれないし、疲弊の原因になることもある。ひとつ言えるのは、どちらにせよ心が動くということだ。心というものは筋肉と同じで、大きく動けば動くほど、その人の在り方を揺さぶる。在り方が揺さぶられるということは、その人が想像している以上に負担がかかるということだ。心の働きが鈍くなった、鉛のように身体が重い、世界から色があせていく。それは魂からこぼれた悲鳴だ。軽いものでは決してない。
なぜ、魂から悲鳴がこぼれるのだろうか。それは周囲の喧騒が絶えずあなたを揺さぶるからだ。意識的にせよ、無意識にせよ、世界に満ちる喧噪が常に貴方の魂へ語りかけてくる。どうにもならない事態だと思うかもしれない。だが、この喧噪を止ませる方法はある。それは感情を発しない存在に注目するということだ。街角の街灯、ビルの片隅に立ち並ぶ木々、路地に生えた小さな花。その全てがあなたを癒す灯火となり得る。
その在り方を意識して観察する。街灯は行き交う人々を暖かく照らしていたかもしれないし、ビルの片隅の木々はその街が変わっていく姿をジッと見守っていたかもしれない。路地に生えた小さな花は、誰も見ていなくても懸命にその在り方を示している。世界からすればたいして重要ではないのかもしれない。だが、確かにそこに人を照らす灯りがある。大切なことは、その灯りを意識して、自分の在り方に組み込むこと。そうすれば貴方の心に鳴り響く轟音は、静かに灯火に消えていくだろう。感情がもたらす大波は、遥かに広大な自然に呑まれていく。時間はかかるかもしれないし、初めは難しく感じるだろう。だが、やる価値はある。
あなたが感じる喜びや悲しみ、苦悩や愛情。その全ては尊いものだ。感情というものは時に貴方を大いに苦しめるかもしれない。悲観してもいいし、怒りを感じてもいい。だが、自分の在り方を信じてあげて欲しい。必ずあなたは自分というものがどういうものであるかを知ることが出来る。それは花畑の中に咲く一輪の大輪かもしれないし、木陰にひっそりと生える小さな花かもしれない。世界を明るく照らす太陽かもしれないし、人々を暖める力を持つ輝石かもしれない。そのどれもが尊く、重要なものだ。あなたが歩くこの世界に敬意を。きっとあなたが抱えるその葛藤が報われる日が来る。
静かな世界に小さな愛を 川本 純 @sakuradaifuku
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