第3話 友達選びは慎重に
私とダリア・マリクス子爵令嬢は学園で出会った。たまたま席が隣だった、それだけなのだが彼女はとても人懐っこい笑顔を浮かべていた。少しそばかすが浮いた顔、とても大きな胸は女性らしいシルエットをしていて、彼女の体をじろじろと見る男子生徒が何人もいた事を覚えている。
「私、ダリアといいます。よろしくお願いしますウィンフィールド公爵令嬢」
「よろしくお願いします。私の事はアネモネとお呼びくださいな、クラスメイトですものね」
この対応がいけなかったのだ。この一声から私とダリアは仲良くなった。貴族の中では高位貴族は高位貴族同士で交流し、下位貴族は下位貴族同士で交流すべき、という暗黙の了解があったけれど、私はそれはつまらないことだと思っていた。どうしてそう思ったかは忘れてしまったが、同じ貴族同士仲良くすればいいと思っていたのだ。
だがそれは間違いだった。どうしても家柄の格の差は現れる。どこかに遊びに行こうとしてもダリアは言うのだ。
「ごめんなさい、そんなお金のかかるところ……いけないわ」
そうすると、私はこういうしかない。
「お金は私が払うわ」
そうじゃなければ
「そう? じゃあ別の所に……」
ダリアの分もお金を払うのが私。ダリアに合わせた遊びをするのも私。公爵令嬢ならば質と格も必要だ。高いお金を払って最新の歌劇を見ておかなければ話題に乗り遅れる。最新のドレスを手に入れなければ舐められる。それでも私はダリアに合わせていた。舐められても私にはナルク様がいる。彼と結婚してウィンフィールド家を立派に存続していけばささいなことで問題ないと思っていたからだ。
社交界で私の立場と価値がどんどん下がっていっていることに、まったく気が付かなかった。
それどころか忠告してくれた高位貴族のご令嬢達に文句を言う始末……今考えると頭が痛い。そうしてダリアは付け上がり、ついにはナルクに手を出したのだ。許されざることだ……ナルクもきっぱり跳ねのけてくれれば問題なかったのに、彼は私に隠れてダリアの手を取った。そうしてダリアはどんどん助長する。それを私は友達だと言い含められ、咎めなかった……私も間抜けで阿呆すぎた。
そんな私の後悔をよそにお父様はごく普通の対応を返した。
「そんな重大な事は朝食の席では決められぬ。デニス家には多額の融資もしておる……」
「それも問題です。デニス家は我が家からの融資が永遠に続くものだと勘違いして、立て直し策を何も講じていないのです。他人の金で贅沢に振る舞い続ける……恐ろしいです。それにダリアはナルク様の子供を妊娠しています…‥そんな男を夫に迎えたくない、絶対にです」
「まさか、そんなことがあるはずが」
お父様は信じてはくださらなかったが、私だって自分が体験しなかったら信じられなかったと思う。私とナルクの間に子供はできなかった……そしてダリアとナルクの間には子供がいた。しかもかなり大きな子供……間違いなく学園を卒業してすぐに産まれたような、そんな子供が。その子を連れて来て、跡取りにすると宣言したナルク、第二夫人にダリアを迎えると言い出したナルク。
それも全部この二人の計画だった。無知な私を陰で嗤いながら……もう二人のいいようにされるなんてごめんだわ。
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